映画評「GANTZ」

☆☆(4点/10点満点中)
2010年日本映画 監督・佐藤信介
ネタバレあり

奥浩哉の人気コミックの映画化と言っても、いつものように題名も作者の名前も知らない。監督は脚本家のイメージが強い佐藤信介。

いつ頃から始まったのか知らないが、僕の記憶している限り、普通の人々が不条理にも密室に閉じ込められ、生き残る為に何かをするというお話は「CUBE」によって流行になったと思う。そのヴァリエーションとして一番成功したのが「ソウ」シリーズである。

本作も不条理密室ものという意味で同じグループに入れても良いと思うが、不条理の性質では「リアル鬼ごっこ」に近いと思われる。しかし、こう似たようなのが次々と作られると余程のアイデアでない限り“独創的”とは言えない。
 敢えて本作の独創的な部分はと言えば、密室に閉じ込められた人間が“死んでいる”ということである。しかるに、この“死んでいる”状態が極めて曖昧で、宗教的には三途の川を渡る前の状態ではないかという気がする一方、現世の人々が“生きている”人として彼らに逢っている。本作には後編があるので、それを観れば解るのかもしれないが、現状ではよく解らない。

大学生・二宮和也と父親殺しで送りこまれた少年院を出所した幼馴染・松山ケンイチが一緒に地下鉄電車に轢かれたと思いきや、黒い大きな玉が置かれたマンションの密室で蘇り、先に送りこまれた死者たちと共に、GANTZと称されるその球から発せられる魑魅魍魎抹殺指令を遂行する羽目になる。
 市井に送りこまれた後魑魅魍魎を倒すと密室に戻されるが、その度に犠牲者が出るわけで、最初から出て最後まで“生き残る”のが二宮君であるのはスター・システムの定石通り。“存在感のない”田口トモロヲが最後まで残るのは意外であった。松山君は後編で何らかの形で復活するはずである。

魑魅魍魎(“星人”)一行さまは、最初が“ねぎ星人”、続くのが歌のお兄さんこと田中星児をもじった“田中星人”で、相当おとぼけが入っている。巨大文化財たちが暴れ回る本作最後の対決はなかなか見せるが、得点形式というのがいかにもゲームで、この手のヤング・アダルト的素材からオールド・ファンの興味を奪う要因になりかねない。序盤スーツは着た人間を強くし痛みを弱める効果があると理解されるのに、お話が進むに連れこの効果が曖昧になるのも不満だ。

小学生時代弱い者を助けたという自負のある二宮君が戦う本能を蘇らせ、当時助けられていた松山君が暴力的な父親を殺したものの戦いには否定的にならざるを得ない、という人間劇的要素は、この前編で判断する限り特筆するに値せず、おためごかしレベルに終始する。

後は明日の後編に取っておきましょう。

映画評も前編・後編だす。

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