映画評「マリリン 7日間の恋」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2011年イギリス=アメリカ映画 監督サイモン・カーティス
ネタバレあり

実はローレンス・オリヴィエが監督・主演した「王子と踊子」(1956年)が僕の初めて観たマリリン・モンロー出演映画で、その撮影時の彼女との経験を第三助監督だった英国名門青年コリン・クラークが綴った実話ものである。

アメリカの20世紀劇作家でテネシー・ウィリアムズ、ユージーン・オニールと並ぶと僕が思う大作家アーサー・ミラーと結婚したばかりのマリリン(ミシェル・ウィリアムズ)が「王子と踊子」撮影の為に彼と共に渡英する。演技力向上の為に学び始めたアクターズ・スタジオの芸術監督リー・ストラスバーグの夫人ポーラ(ゾーイ・ウォナメイカー)に付き添って貰って指導を仰いでいる彼女の演技スタイルが自らの演出プランと合わない為にオリヴィエ(ケネス・ブラナー)は大いに困惑、彼女は彼女で夫が仕事の邪魔になると思っていることを知ったり演技に自信を持てず悩むうち、23歳で若いクラーク(エディ・レドメイン)の素直に自分に寄せる崇拝に心が動かされ、見張り役の彼と不都合なく7日間を奔放に過す。かくして彼女が精神的に大分持ち直して撮影は遂に完了し、帰国していく。

青年との秘話という側面は実は表面的なもので、映画は青年自体を事実上の狂言回しとして終始扱い、大スターとしてのマリリン・モンローと素のノーマ・ジーン(MM本名)とのギャップに苦しむ内面に接近しながら、古い演技スタイルから抜け出せず時代に取り残されたことを自覚するオリヴィエと比較してモンローのスター性を大いに持ち上げる内容になっている。

監督のサイモン・カーティスは(本来の英国映画らしく)嫌みなく正攻法に作っていて爽やかな後味を残す。

共にシェークスピア俳優・演出家として名を馳せているオリヴィエをケネス・ブラナーが演じているのが大変興味深い。余り似ていないものの時々似た表情を見せてまずまず。ヴィム・ヴェンダースの「ランド・オブ・プレンティ」以来ご贔屓のミシェル・ウィリアムズは外観を敢えて似せようとはせず、内面演技に注力した模様で、苦悩するMMを重くなり過ぎない程度に上手く演じていて充実。益々気に入りました。

MW、名前は平凡だけど良い女優だね。

この記事へのコメント

2013年03月11日 17:30
ローレンス・オリヴィエは本領は舞台の人で、映画向きではなかったということでしょうか。ただ当人がそのあたりをよくわかっていないままだったような印象を持ちます。
「王子と踊子」では、マリリンはよかったと記憶しています。ただ、ぴちぴちドレスを着ていると妙にお腹ぽっこりが目立ったんですよね。それが、その後で出た「お熱いのがお好き」では、お腹ぽっこりが目立たないデザインのドレスをちゃんと着ていました。調べると衣装はオリー・ケリーがやっていて、衣装デザインでアカデミー賞を獲っていますね。

「マリリン 7日間の恋」 は未見ですが、ミシェル・ウィリアムズの演技をぜひ観たいと思いました。
オカピー
2013年03月11日 21:10
nesskoさん、こんにちは。

>ローレンス・オリヴィエ
厳密に言えば、そう言えるかもしれません。
僕は好意的に演劇性を残した演技、演出をした方と思っていますが。

>お腹ぽっこり
「王子と踊子」の頃は30歳くらいだったでしょうか、元来グラマーでしたからそういう傾向があったのでしょうね。
その対照にあったのが、オードリー・へプバーンでした。

>ミシェル・ウィリアムズ
元来好きな女優さんなのでとても良いように思いましたが、どうでしょうかねえ(笑)。
ねこのひげ
2013年03月12日 04:47
この原作は、まったくの嘘で、第三助監督であるコリン・クラークが直接マリリンと話をできる機会さえもなかったそうですけどね。
まあ、原作が、妄想の産物としても、映画としては、いい出来と言えますから文句はないですね。

オードリーも実は、ストレスで劇太りして太っていて、アメリカに向かう船上でタルタルステーキばかりを食べさせられて、あの体形になったそうで、痩せてなかったら『ローマの休日』のプリンセス役はもらえなかったとか。

女優も大変ですな~
オカピー
2013年03月12日 21:10
ねこのひげさん、こんにちは

そんなものかもしれません。
しかし、マリリンとオリヴィエの関係等はほぼ事実と思われるので、“実話”で良いでしょう^^ゝ

>激太り
その後太らなかったのは、精進のたまものですかねえ。
えらいもんです。
2013年03月13日 01:39
マリリン・ファンたる私としては、ミシェルに演じてもらって、よかったと思います。個人的にも好きですけど、上手いです。
なんたって、マリリンを演じるという困難なハードルに挑戦して、こなしていますから。
ファンの贔屓目で、当然のごとく昨年度のマイベスト1。記事も6回に分けて書いたぐらいです。
たぶん、スカーレット・ヨハンソンさんなどが演じたら、まったく雰囲気が違ったと思います。それはそれで面白いですが。
オカピー
2013年03月13日 22:00
ボーさん、こんにちは。

マリリン・モンローに関する映画は色々と作られていますが、本作は良かった。重すぎず、上品で、さすがに英国映画らしい伝統の味がありました。
ミシェル・ウィリアムズも素敵でした。

>スカーレット・ヨハンソン
彼女は声が少々悪いのが、なんてんのどあめでしょうか。

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