映画評「ロシュフォールの恋人たち」

☆☆☆☆★(9点/10点満点中)
1966年フランス映画 監督ジャック・ドミー
ネタバレあり

オペレッタのミュージカル映画版といった表現がぴったりの「シェルブールの雨傘」(1963年)を作ったジャック・ドミーが3年後に発表したミュージカル。
 衣装も町並みも柄ではなくベタに配色した点は前述作と同じだが、さすがにオペレッタのレシタティヴ形式は捨てて台詞も少なからず使う一般のミュージカル仕立て。ドミーのミュージカル映画が楽しい第一要因はやはりこの配色でありましょう。

港町のロシュフォールの祭に合せて、バイク乗りのジョージ・チャキリスらが訪れてお話が始まる。
 カフェを経営しているダニエル・ダリューは、昔名前が気に入らないと一子を設けながら別れた男性が忘れられない。実はすぐ近所に住んでいる楽器店経営のミシェル・ピコリその人なり。
 彼女には双子の娘フランソワーズ・ドルレアックとカトリーヌ・ドヌーヴがいる。フランソワーズは今パリに来ているとピコリから伝えられた尊敬する音楽家ジーン・ケリーに会いに、またバレリーナのカトリーヌは憧れの君を探しにチャキリスらの乗るトラックに乗ってパリに向かうことにするが、その前にフランソワーズは一度町で遭遇しているケリーとピコリの店で会い、ピコリは双子の代わりに弟を迎えに行った学校でダニエルと再会する。その弟こそ二人の子供である。
 一人パリに向かうことになったカトリーヌの乗ったトラックに、彼女そっくりの女性を夢見ている若き画家ジャック・ペランが乗り込む。彼もまたカトリーヌの憧れの君そのままなのであった。

という母娘三組の他愛ないと言えば他愛ないすれ違いの紆余曲折を、チャキリスのバイク乗りコンビを狂言回し的に用いて進行、ペーソスたっぷりだった「シェルブール」とは対照的な幕切れをもって終了する誠にゴキゲンな一編。ミュージカルはお話が他愛ない方が良いと思っている僕には極北ミュージカルと言いたくなる出来映えであります。

歌は有名な「双子の歌」(正式名は知らず)を筆頭にミシェル・ルグランの好きなジャズ趣味を多分に取り入れた楽しいものが多く、一つの曲(フランソワーズが作ったことになっている)をリレー形式で繋いでいく部分が大いに気に入った。

チャキリスを招聘したせいか、「ウエスト・サイド物語」(1961年)を多少思わせる群舞があったり、ケリーの部分ではケリーらしい踊りがきちんと披露されているのも実に楽しい。もう少しアクロバティックなら往年のケリーそのもので余計に結構だったのありますが。その二人に比べると本当の姉妹であるドルレアック姉妹(ドルレアックが二人の本名)の踊りはさすがに見劣りするものの大奮闘。

姉さんがこの後交通事故死をしてしまうこともありしっかり観ておりましたし、カトリーヌは三十数年後ちょっとしたミュージカル気分の「8人の女たち」(2002年)でダニエル・ダリューと再共演するのだあと思うと感慨もひとしお。

実を言いますと、恥ずかしながら、ミュージカル映画ファンを標榜しながら、十数年前の初鑑賞チャンスを逃した為に今回初めて観るのでござる。何年も前からDVDを買おうと思いつつ薄い財布を眺めて溜息をついていたら、先年リバイバルされた為多分間もなく出て来るだろうと踏んでいた通り、遂に観られると知って実に嬉しかった。期待が大きすぎて実物を見てがっかりという例も少なからずありますが、本作は天にも昇る気持ちになったです。

やっぱり妹の方が美人かなあ。

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この記事へのコメント

ねこのひげ
2013年02月08日 08:07
『シャルプール雨傘』と『ロシュフォールの恋人たち』懐かしいと言いたいけど、子供のころはミュージカルは観てなかったです。事故のニュースだけは記憶にあります。
大人になってから観ました。
カトリーム・ドヌーブは美人でありました。
このころの映画は他愛のないところがいいところでありますね。
さっこんの映画は説明するにもコメントするにも難しいですな(^_-)-☆(苦笑)

シルビー・バルタンが、来日してコンサートをしているというニュースをやってましたが、花束を持って出たのが、バルタン星人・・・バルタン星人の名前は、シルビー・バルタンからいただいたとかいうつながりだそうです。
シルビー・バルタンが戸惑ってましたよ(笑)
御年68歳とか。
オカピー
2013年02月08日 21:04
ねこのひげさん、こんにちは。

「レ・ミゼラブル」は大ヒットしているようですが、日本人は本来ミュージカルが苦手。かく言う僕も、今でこそミュージカル映画ファンを自称しておりますが、映画を観始めて数年間は苦手でした。

昨今は、内容も作り方も複雑怪奇になっておりまして、精神衛生上良くない映画が多いですね^^;

>バルタン星人
やはりバルタン星人の元は彼女でしたか^^
ビートルズ世代はもう70歳近辺ですね。自分の年を考えれば、当然そうなりますがTT

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    Excerpt: 見ていると、しあわせで、たのしい気持ちでいっぱいになるミュージカル。 Weblog: 或る日の出来事 racked: 2016-05-25 08:30