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zoom RSS 映画評「哀しき獣」

<<   作成日時 : 2012/12/12 11:37   >>

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☆☆★(5点/10点満点中)
2010年韓国映画 監督ナ・ホンジン
ネタバレあり

馬力が凄かった「チェイサー」のナ・ホンジンの第二作。

北朝鮮の北、ロシアの南に位置する中国の延辺朝鮮族自治州に暮す韓国系中国人を朝鮮族というらしい。
 その朝鮮族のタクシー運転手ハ・ジョンウは妻を韓国に出稼ぎに送る為に借りた6万元が返せず困っている。朝鮮族の犬商人実はギャングのキム・ヨンソクからソウルの或る人物を殺して証拠の親指を持ってくれば6万元を渡すという話を持ちかけられ、密航してソウルに渡る。
 慎重にターゲットの動向を探りいざ実行してみると、既に相手の体育大教授はお抱え運転手に殺され、彼が指だけ切っているところへ警察がやってきて逃げるに逃げる。どうもこの教授(内実はヤクザの親分)は、知人であるバス会社社長チョ・ソンハからも狙われていて運転手はその内通者だったらしく、チョは犯行を知ったハを亡き者にしようと部下に追い掛けさせ、最初から罠に嵌めるつもりだったキムも彼を殺しにかかる。

評判の良かった「チェイサー」もお話としては些か変なところがあって少々ケチをつけたが、本作は後半になると首を傾げっぱなしになる。お話が進むに連れて人物の関係がどんどん解らなくなり、こちらとしてはハが逃げるのをただ見守るしかなくなっていく。
 体調不良だったため自分の問題かと思ったが、他の方も似たような感想を持ったようである。彼の妻とチョの妻が似ているのも観客を大いにとまどわせる。好意的な見方をする人はこの不明瞭さは意図的であろうとしているが、それを説得力を持って裏打ちするには作劇にもう一工夫が要ると思われる。

さらに、しがないタクシー運転手がいくら必死とは言え、いきなりプロフェッショナルのスパイ並みに活躍するのもご都合主義である。最後にハの妻が中国の駅に降り立つショットを入れて男の悲劇性を浮かび上がらせようとしたらしいが、交通整理がついていない中では効果が上がっていず、どうも運転手の殺し以降の展開は感心できない。

一番良いのはアクションで、ショットが細切れでカメラが揺れる最近では当り前の手法が生きて迫力がある。但し、僕はこの手法は基本的に好まないので、手放しで絶賛は出来ない。

韓国暗黒映画、馬力だけは邦画を凌駕しています。

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『哀しき獣』
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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
そうなんです。
馬力だけやる気満々でつっ走ってるだけで
作劇としてちゃんとしてないのです。
前作にもそのようなフシは見え隠れして
おりましたがあの異様なテンション続きで
だまくらかされまして〜〜(^ ^);
いいんですけどね、映画は、客をうまくだまして
取り込んじゃうのも商いのうちですから。

掛け声高らかに登り始めたはいいけれど
中途から失速しちゃって最後はロープウェイで
着きましたけど〜、そんな感じの映画ですかね〜
vivajiji
2012/12/12 15:57
vivajijiさん、こんにちは。

「チェイサー」はお話がシンプルだけに馬力が最後まで持ちましたけどねえ。
本作は、お話が進むに連れ、誰が誰に対して何をしようとしているのか、何だか解らなくなっちゃいましたよね^^;
僕は一応上のように理解しましたが、本当に合っているのかな(笑)。
オカピー
2012/12/12 21:47
迫力はありましたが・・・・・

そういえばきのうは小津安二朗の誕生日であり、亡くなった日でもありました。
『東京物語』をモチーフにした山田洋二監督の『東京家族』が完成したそうです。
81作目だそうで、来年の1月公開であるそうです。
ねこのひげ
2012/12/13 07:30
ねこのひげさん、こんにちは。

意図的であろうとなかろうと、交通整理ができていない作品であろうと思います。

>小津安二郎
山田監督は、松竹に入社する前後は小津監督が大嫌いだったそうですが、いつか自分がそういう家族の映画を取るようになっていた、と苦笑しておりました。
僕は山田監督の精緻な映画文法が大好きでして、もっとたくさん撮って欲しいと思っております。
オカピー
2012/12/13 21:43

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