映画評「パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2011年アメリカ映画 監督ロブ・マーシャル
ネタバレあり

もうこのシリーズは終わったと思っていたら監督をロブ・マーシャルに変え装いも新たに第4作がこしらえられた。監督への信用度から言えばこちらのマーシャル氏の方がずっと上なので、僕としてはその辺が期待するポイントとなる。

偽物のジャック・スパロウが船員を募集していると知った本物(ジョニー・デップ)がいざ探し出して会ってみると知らぬ仲ではない美人アンジェリカ(ペネロペ・クルス)で、彼女が父親“海賊黒ひげ”エドワード・ティーチ(イアン・マクシェーン)と共に計画している“生命(いのち)の泉”を探す旅に協力する羽目になる。

ディズニーは実在した海賊エドワード・ティーチの亡霊を主人公にした「黒ひげ大旋風」というコメディーを1968年に作っているから、何でも見る派のオールド・ファンなら黒ひげ再登場にニヤニヤさせられるに違いない。

さて、命の泉だけでは何の意味もなく、聖杯と人魚の涙を揃えて初めて永遠の命を得ることができるのだが、本作に出てくる人魚たちはなかなか凶暴で海賊たちもひどい目に遭わせられると共に、そんな人魚からどういう手法で涙を流させるか等作劇に工夫が為されている。

“黒ひげ”のいた18世紀初頭英国とスペインの覇権争いの史実を交えたところが世界史的に興味深くなっている(僕の理解ではこれにスペインは敗れてひどい下り坂に入って行く)が、何よりも良いのはゴア・ヴァービンスキーの三部作(特に第2作、第3作)が寄り道や廻り道が多くてうんざりさせられたのとは対照的に、冒険映画として登場人物が目指すものがはっきりと設定されていて見通し良く直線的に作られていることである。基軸がしっかりしているので、追い掛けてくる別の二組を加えても見通しは一向に悪くならず、全体的にかつての「インディ・ジョーンズ」シリーズに近い感覚がある。
 直線的に作った方が面白いのは解りきったことなのに単純なお話をわざわざこねまわさなければならないのは、単純な話を面白く見せるのは実際には難しく酷評を浴びやすいからである。翻せば、今回の脚本家二人やロブ・マーシャルに相応の自信があったということになる。

ゾンビという言葉が出てくる割りには、どろどろぐにゃぐにゃした気持ち悪いものが余り登場しないのも有難い。

柳の下の4匹目のどじょうは野田首相よりおいしかった。

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この記事へのコメント

2012年08月09日 21:47
人魚が素晴らしい!
…と自分の感想を読み返したら書いてありました。笑。
ねこのひげ
2012年08月10日 05:29
これは3Dで観ましたが、あまり効果はなかったですね。
物語を楽しむうえでは、3Dというのは必要ないというか、邪魔なようで、物語性のない、動物などのドキュメンタリーの方がいいようです。

ラストを見ると、5匹目6匹目のドジョウがいそうでありますね。
オカピー
2012年08月10日 18:56
ボーさん、こんにちは。

四十九日を終えたばかりなのに今度は新盆の準備はあるわ、オリンピックはあるわで、映画どころではないのですが、何とか日に一本観ております。

>人魚
西洋的には、アンデルセンより、ギリシャ神話のセイレーン(半人半鳥)的な扱いでしたね。
なかなかお綺麗で結構でござりました^^
オカピー
2012年08月10日 19:05
ねこのひげさん、こんにちは。

>3D
は実質的にメジャー映画のコピーガードの役目の方が大きいのかもしれませんね。
歴史的に何回目かの3Dブームですが、技術の進歩があって今回が一番成功しました。基本は昔のものと変わらないのですけどね。
個人的には、人間には想像力があるので、そんな技術に頼る必要はないと思っていますし、映画によっては意味もなく物体が前面に寄って来るカットがあって余りに不自然につき、嫌でございます(笑)。

>どじょう
が消費税について色々と述べておりますが・・・(笑)
ジャック・スパロウにもジョニー・デップにも大して興味がないのでもう結構なのですが、作られれば今後も観るでしょう^^
監督のロブ・マーシャルはヴァービンスキーよりは腕前は上で、次があるなら彼でお願いしたいですが、このシリーズのファンはマーシャルは止めて欲しいと言っているようです。もうヴァービンスキーもないと思いますけど、次は誰かな?(笑)

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