映画評「トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2011年アメリカ映画 監督マイケル・ベイ
ネタバレあり

かかるお話が続くシリーズは“映画のTV化”の最たるものだが、1910~20年代には連続活劇と言うのがあって実はこれがTVシリーズの原型、即ち一巻(10分程度)のものを毎週見せるのである。
 連続活劇とは少し違うが、戦前から50年代後半まで日本では大作を分割公開する習慣があり、大概は一度に作った作品を二つか三つに分けて上映していた。戦後では「青い山脈」の例もあったが、時代劇か、時代劇が作られない時に片岡千恵蔵主演で作られた金田一耕助もの「獄門島」みたいなジャンル映画に多く見られるようである。

だから、映画のTV化などと言って目くじらを立てる必要もないのだが、当時の分割公開は通常1週間、長くても1ヶ月のスパンで観られたから正にTV感覚、復習の必要もなしにそれなりに安い料金で観られたはずである。
 ところが、現在のシリーズは一本が長くて話がややこしく、大概二年のスパンで公開される。僕のような【古今東西何でも見る派】はこういうのは非常に困る。復習する時間があったら他の映画を観た方が収獲になるわけで、特にファンでもないシリーズでは忘れてしまっている部分が多いからシリーズの固定ファンやら復習してからご覧になるファンの方のようには楽しめないことが多い。現在の映画のTV化が困るのはこの点に尽きる。せめて半年くらいに縮めて貰えんだろうか(笑)。

前置きはこのくらいにして、本シリーズの場合は良い意味で内容空疎にして連続性が意外と薄いのでその意味では【何でも見る派】には割合有難く、この第3作では米ソの月を舞台にした宇宙開発合戦が突然終わった背景をでっちあげた序盤がなかなか面白く、人類の味方であるオートポッド族と侵略を目論んでいるディセプティコン族との争いを米ソの代理戦争よろしく扱い、オートポッド族の長老の裏切りが発覚する辺り即ち全体の三分の二くらいまでは大人の諸氏でも楽しめそうなお話になっているが、大がかりの戦いが始まると例によって退屈させられる。

それに人類側に裏切者がいて幾つかのグループに分かれて戦闘が繰り広げられるにしても、全体的に退屈千万だった第2作のメリハリのなさが再び現れてすぐに飽きてくる。154分という全体の尺長もさることながらクライマックスが余りにも長い。映画館で観れば多少印象が違うと想像されるにしても、TVで観ると退屈になるとしたら、翻せばクライマックスにおける内容が薄いと言うのとほぼ同義である。いくらアトラクション的に見せるのが眼目とは言え、少々寂しく感じられる棺桶予備軍の愚痴でござりました。

監督は今回も大味監督マイケル・ベイ。

主演はシャイア・ラブーフは変わっていないが、お相手になる女性はロージー・ハンティントン=ホワイトリーという新人に代わっていて、常連ジョン・タートゥーロも出ている。フランシス・マクドーマンドやジョン・マルコヴィッチの使い方が面白い。

我々の世代はピンク・フロイドの「狂気 The Dark Side of the Moon」でも聴いている方がよろしいようで。

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この記事へのコメント

2012年07月05日 12:26
こんにちは。
この手に関しては珍しく比較的好意的な
拙記事持参いたしました。
3Dだから最後まで観れたのかな?!(- -)
“大ざっぱ王!マイケル・ベイ印
3D仕様ロボット電脳芝居”。
監督、薄味大味だなんて夢にもお思いではなく
似たようなのまたお作りになってこれからも
大いにお稼ぎになるのでしょうね~
オカピー
2012年07月05日 23:07
vivajijiさん、こんにちは。

TVで観る限りにおいて、このシリーズは戦闘場面以外は意外と大人っぽく面白い。ところが、闘いが始まると長すぎてどうも退屈してしまう。
その繰り返しですが、数年前に当時小学生だった甥にこんな作品があるよと言われた時予想したイメージよりは興味深く見られまして、全体としてまあまあの印象ですね。

出来栄えはともかく、マイケル・ベイの作品では、日本における世評が一番低い「パール・ハーバー」ではなく「アイランド」が一番嫌いです。
ねこのひげ
2012年07月06日 06:34
元々が、小学生低学年から幼稚園当たりに向けて作られたアニメが素ですからね~
それを、大人向けに直したんでしょうけど、たしかに戦闘場面になると、まだ終わらないのか?と思ってしまいますな~
メリハリがないというか・・・大味すぎますな~
ただ、あそこまで細かくメカを再現した執念には感心しますがね。
オカピー
2012年07月06日 15:39
ねこのひげさん、こんにちは。

TVで観ると、画面と音量のでかさで誤魔化されることがないから、内容が伴っていないとそう感じるわけですよね。ヒッチコックの映画なんか小さな画面でも面白いですからねえ。

>あそこまで細かくメカを再現した執念には感心
確かに。
それはTV画面でも十分解ります^^

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