映画評「ハーダー・ゼイ・カム」

☆☆☆(6点/10点満点中)
1972年ジャマイカ映画 監督ペリー・ヘンゼル
ネタバレあり

レゲエのスターだったジミー・クリフを主演に1972年に作られた本作が日本で劇場公開されたのは1978年、レゲエが日本に定着した(サザン・オールスターズがデビュー・アルバムでレゲエを取り入れたのもこの年)と配給会社がみなしたのであろう。僕はその数年後どこかで観た。

ジャマイカ、祖母が死んで家を売り払い地方から首都キングストンに出て来たクリフが、牧師に庇護されている女性ジャネット・バートリーと懇ろになるが収入が絶え、得意な歌で稼ごうと“ザ・ハーダー・ゼイ・カム”を吹き込むもレコード会社から僅か手間賃20ドルを受け取っただけで印税も何も入って来ない。
 仕方なく手を染めることにした麻薬取引で罠に嵌めた友人を殺して逃亡、さらに追跡する警官を三人も殺した為却って英雄的扱いを受けてレコードも売れ、逃亡しながら写真を撮ったりサインをしたり良い気になっているのもさすがに長続きせず、結局ジャネットから居場所を聞いた警察に追い詰められる。

珍しいジャマイカ映画で、脚本・監督もジャマイカ生まれのペリー・ヘンゼル。

お話は「俺たちに明日はない」のジャマイカ単独犯版みたいなもので、タッチは映画の中で「続・荒野の用心棒」が出てくるようにマカロニ・ウェスタンの影響大にしてそれを少し雑にした印象にして、同時にマカロニ・ウェスタンの影響を受けている香港カンフー映画のタッチに似たところがある。

ということは、貧困や聖職者の狭量に主人公の野心を交えて社会問題を描き出す狙いがあるにしても映画としてはそれほど高品位ではないということになり、実際編集は出たとこ勝負で粗雑なところが目立つ。

前半「続・荒野の用心棒」を観ていた観客が「英雄は死ななければならない」と言う言葉に則り、主人公が官憲に追い詰められる場面と映画を喜んで見ている観客とのカットバックで終えているところはなかなかの工夫で、前半の映画館の場面が布石として生きている。
 成功した主人公が主演した映画を実は観客が観ているのではないかという穿った見方をするのもちょっと面白いと思うが、さすがにそれはないのだろう。

全体としてはそれほど大した作品でもないのに拘らずまた観たのは、クリフの「ザ・ハーダー・ゼイ・カム」「メニー・リヴァーズ・トゥ・クロス(遥かなる河)」「ユー・キャント・ゲット・イット・イフ・ユー・リアリー・ウォント」を何となく映像を見ながら聴きたくなったからだが、同じレゲエでもボブ・マーリーやバーニング・スピアなどよりぐっとポップで聴きやすい。どちらかと言えば、アメリカ本土のソウル、カリブ海音楽で言えばカリプソのような軽快な感じなので日本人には馴染みやすいと思われる。

"The 比較級、the 比較級"・・・僕は洋楽の歌詞でかなり英語を勉強しました。

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この記事へのコメント

ねこのひげ
2012年05月07日 04:42
VHSを持ってます。
他のレゲエライブのVHSも・・・・・
一時期、レゲエに凝ってまして、新宿などの輸入盤屋で海賊版のレコードなどまで買いました。
ジャマイカのレコードなんてすごかったですよ。
プレーヤーに乗せると波打ちながら回転するのがおかしかったです。
オカピー
2012年05月07日 09:58
ねこのひげさん、こんにちは。

いやあ、ねこのひげさんがレゲエ・ファンとしては想像だにしておりませんでした。
お見逸れ致しました(笑)。

>波打ちながら
CDではそんなことはありません(あったら読みとれない)が、輸入のブラック・ディスクはひどかったですね。
僕も当時日本では発売中止になっていたビートルズの正式レア盤の輸入品を買いましたが、波打ちがひどいものでした^^;
針が飛ばなかったのが恩の字というくらいでしたなあ。

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