映画評「マイティ・ソー」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2011年アメリカ映画 監督ケネス・ブラナー
ネタバレあり

またまたマーベル・コミックの映画化と聞いてげんなりしてきたお年寄りの僕です。
 しかもお話がまたまた神様の喧嘩に地上に住む普通の人々が巻き込まれるお話らしいと解ってきたところで「あかんなあ」と思った次の瞬間、「なぬっ、オーディン? ロキ?」と登場人物の名を聞いて、数年前に読んでみた北欧(アイスランド)神話「エッダ」がベースとなっていると解り俄然興味が湧いてきた次第。

ギリシャ神話ばかりでは能がないということだろうが、喜劇を除くシェークスピア劇では評判倒れの作品しか作れていない(これらを見るなら絶対ローレンス・オリヴィエ版をお薦めする)ケネス・ブラナーが監督をした理由も多少理解できる。

「エッダ」ではオーディンは神々の神即ちギリシャ神話のゼウスみたいなもので、色々な訓話を残している。ロキは彼の息子ではなく、巨人の血を引くオーディンの義兄弟で、ひょうきん者とされているが、映画ではオーディン(アンソニー・ホプキンズ)が巨人から奪って次男にしたという設定に変更され、主人公の長男の雷神ソー(クリス・ヘムズワース)と権力争いを繰り広げることになる。

訳ありで追放されて落ちて来たソーを巡って巻き込まれる地球側には、美人科学者ナタリー・ポートマンとステラン・スカルスゴードなどのグループと彼女から資料を一切合財奪ってしまう組織があり、ナタリーの親切にほだされたソーが色々賑やかな騒動が繰り広げる。

この地球上ではコミカルな描写が多い為にちょっと異色の味わいがありなかなか楽しく観られるが、地球とは別の空間とされている場所での神々の戦いは特にひねりもなく退屈。この手の作品が作られ過ぎた弊害でござる。

評価には加味しないが、そもそも元来人類の神々をベースにしているのに地球とは別の空間という設定が個人的には非常に気に入らない上に、この程度の葛藤をもってシェークスピアと比較するのはかの文豪に甚だ失礼と言うべし。

ブラナーも作るものがなくなってきましたかな。

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この記事へのコメント

ねこのひげ
2012年05月12日 04:47
『エッダ』は大学のころに読みました。
卒論も『ハンザ同盟』で北欧系だったです。
壮大でおもしろい神話で、ワグナーが曲にしてますし、ヒットラーが好んだのもわかりますね。
でも『マイティーソー』などの一連のマーベルコミック物は、スタン・リーが生み出したキャラクターですが、あまり、パッとしないB級の作品ですよね。

映画『アイアンマン』が当たったので次々と実写化したようです。
こんどはまとめてでてくる『アベンジャー』という映画が公開されますが、アメリカでは空前のヒットで『ハリポタ』や『パイレーツ・オブ・カリビアン』の記録を塗り替えたそうですよ。
それほどの作品か?とねこのひげは疑ってますけどね。
オカピー
2012年05月12日 21:30
ねこのひげさん、こんにちは。

文系でしたか^^
ご存知かもしれませんが、僕はロシア語・ロシア文学・ロシア史専攻でした。
プーシキン、ツルゲーネフ、チェーホフが好きだったんですよ。

>ワグナー
「ニーベルングの指環」。有名な「ワルキューレの騎行」もその中に入っているわけですね。

最後の一文について後で考えてみると、神の世界は人類とは別の宇宙と言えないこともないわけですが、やはり地球の一部と考えたいっ!(笑)

>『アベンジャー』
最近新作チェックをしない僕も題名だけは聞き及んでおりますが、そこまで売れているんですか?
アメリカ映画界も日本並みに子供文化になりつつありますかな^^;
いや、アニメ・コミックが子供向けという意味ではないですが、そういうものは出来栄えが伴ってこそ大人の鑑賞に堪える作品と言えるわけで、欧州のように地味なドラマがその国の史上1位の配収記録を打ち立てるなんてことは間違ってもなさそうですね。

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