映画評「豆富小僧」

☆☆(4点/10点満点中)
2011年日本映画 監督・河原昌明、総監督・杉井ギサブロー
ネタバレあり

人気ミステリー作家・京極夏彦のユーモア妖怪小説を3DCGアニメ映画化。

妖怪の総大将・見越し入道の息子の癖に怖がられないどころか笑われてしまう可愛い妖怪・豆富小僧が、父親に失格の烙印を押された為顔も知らない母親を探す旅に出るや否や、妖怪と対立するタヌキ軍団に騙されてお堂に閉じ込められてしまう。時間を持て余し、着物の柄に溶け込んでいた従者の達磨とにらめっこなどするうちお堂から出てみると200年の時が経ち、人間が天気をコントロールできるやもしれぬ現代(厳密には近未来でしょうな)に当惑することになる。

タイムスリップと書かれた資料もあるが、「浦島太郎」のように知らぬうちに200年経ってしまったと解釈した方が“にらめっこ”をして時間を忘れたように感じられて、このお話にふさわしいような気がする。

さて、そこでは妖怪が消滅しタヌキが跋扈して人間の精神を支配している状態で、狸どもは天気をコントロールできるSORAという装置を人間に使わせて益々のさばろうとしている最中に現われた豆富小僧が邪魔で亡き者にしようと色々画策するが、小僧の願いを聞いた入道以下の妖怪たちが総登場して無数のタヌキ軍団と対決することになる。

と書いてみたものの、お話の骨子は「母をたずねて三千里」と「瞼の母」を併せて「浦島太郎」の要素を加えたといったところなので、実はこの2グループの対決自体、要素としては見かけほど重要でないように思われる。それが証拠に、妖怪の見える少女室田アイがその母・茜がSORAに注力している姿に淋しく思う様子を重要な傍流エピソードとして配置、さらにアイの為に瀕死の茜を救命しようと小僧が自分の命の火である豆腐を捧げることから裏打ちされる。

実際のところ、タヌキは欲望に走る人間の、そして妖怪は自然を恐れる本来の人間の在り方のメタファーであり、それが物語を通して作者たちがターゲットにしたであろう子供たちに啓蒙しようとしている部分ということになる。

いずれにせよ、大人が観る作品としては相当弱く、感興を覚える部分が殆どない。敢えて挙げれば、お子様たちには意味を為さぬであろう「瞼の母」もどきの場面が本当に画面に登場する軽いおふざけくらいだろうか。

「瞼の母をたずねて三千里」といったところ。

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この記事へのコメント

ねこのひげ
2012年04月28日 05:24
妖怪と人間では時間のたち方が違うので、豆腐小僧が気が付いたら200年経っていました。
でいいんじゃあないの?と思いました。

最近のアニメ映画のキャラは魅力的なのが少ない気がするので、この豆腐小僧は、声が深田恭子嬢で、会っていてよいと思っていたので、ちょっとな~
もうちょっとなんとかならんかったのか?ではありますよ。
嬢もだんだん妖怪じみてきたな・・・と思うのはわたしだけ?(笑
オカピー
2012年04月28日 23:02
ねこのひげさん、こんにちは。

>時間のたち方
僕はそうにしか思えませんでしたし、そのほうがのんびりしていて良いです。

>深田恭子嬢
結構人気がありますね。可愛らしくてなかなか良かったですね。
それ以上言うと、周囲に怒られそうなので黙ります^^

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