映画評「ケンタとジュンとカヨちゃんの国」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2010年日本映画 監督・大森立嗣
ネタバレあり

ゲルマニウムの夜」という異色作が一部で評価の高かった大森立嗣監督の新作だが、前作同様本作も僕の苦手とするタイプである。どうにも後味が悪い。

工事現場で壁を壊すのを専門としている施設出身の二人ケンタ(松田翔太)とジュン(高良健吾)が文字通り閉塞する現状という壁を叩き壊す為に、まず兄貴分(新井浩文)の車を叩き壊して、健太の兄が服役している網走に向って旅を始める。以前からジュンが付き合っていた“ブスだから誰とでも寝る”女カヨ(安藤サクラ)を途中で捨て身軽になると、彼らは施設の知人・洋介(柄本佑)と再会するが、母親に片眼を潰されていて今は障害者の施設で働いている。しかし、ここで二人は障害者ですら居場所があることに愕然とし、網走で再会した兄には「壊した先には何もない」と言われ絶望的な気分に陥り、自滅的な行動を取る。

という、若者にとって閉塞的な時代を切り取り拡大して見せたようなお話だが、社会に遠因があるにしても出てくるのが尽く碌でもない人間ばかりなので観続けるのが嫌になってしまう。社会に希望が持てないなら人間に希望が持てるような映画を僕らは観たい。希望が持てる人間はたった一人で良いのだ。こんな重苦しいのを131分も延々と観続けなければならないとしたら観客は地獄である。

映画的には、捨て鉢になっている他の人物との対照の為とは言え、夢多き勘違い女・多部未華子が突然出てくるなど、場面の繋ぎに疑問を覚える箇所が幾つかあったことを指摘しておきたい。

後味だけで言えばもっと星は少なくて良いのだが、どちらかと言えば最近の邦画としてはちゃんとしている部類なので、上記の星を進呈。

「イージー・ライダー」を思い出しながら観ていましたぜ、当時小学生だったおじさんは。

中学1年の時に読んだ「誰も知らない小さな国」は楽しかったけどなあ。

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