映画評「華麗なる相続人」

☆☆★(5点/10点満点中)
1979年アメリカ映画 監督テレンス・ヤング
ネタバレあり

オードリー・へプバーンがオードリー・へプバーンたる所以は「暗くなるまで待って」をもって終了したと思っているので、この作品が彼女の主演作の中で最下層に属するのは間違いないにしても鼻からカウントしていない。

原作は有名なシドニー・シェルダンの「血族」で、監督は「暗くなるまで待って」で10年前にコンビを組んだテレンス・ヤングだが、前コンビ作とうって変わって一向に冴えず。どうもレアード・コーニッグの脚色が相当まずいらしい。

開巻直後登山中の人物が滑落死する。この開巻直後のショットの感覚だけがちょっと良いくらいで後は甚だ凡庸にして退屈。
 彼は製薬会社の社長で、後を継いで株を譲渡して大儲けしたい一族関係者は大勢いるが、結局は株の譲渡を禁ずる生前の意志を守ろうとする娘のオードリーが後継者に選ばれて株の過半数を相続、形式的に父親の片腕だったベン・ギャザラと結婚することにする。刑事ゲルト・フレーべの調査で父親の死が殺人であることが判明した後、彼女が別荘に行こうとすると車にひかれそうになったり、秘書が身代わりに殺されるなどして、身内のうちに誰か彼女の命を狙っている者がいるらしいことが判って来る。

ジェームズ・メースン、ロミー・シュナイダー、モーリス・ロネ、イレーネ・パパス、オマー・シャリフといった豪華メンバーが一族を構成しているのだが、彼らの見せ方が中途半端で誰が怪しいかと推理する気にもなれず、唐突にポルノ撮影絞殺事件が二度ほど挿入されて観客を当惑させる。この事件で使われるのが赤い紐で、オードリーが誰に助けを求めて良いか迷う幕切れで赤い紐を持っている人物が犯人と観客に解らせる為に布石として置いたと納得できる次第だが、布石の置き方としては身も蓋もなく誠にお粗末だし、クライマックスではもう少し早めに出して観客をヒヤヒヤさせないと意味がない。

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この記事へのコメント

ねこのひげ
2011年10月22日 04:48
『船頭多くして船、山に登る』という格言通りの作品ですね。
大俳優がそろうとろくな作品ができないようですね。
いぜん、ビビアン・リーの『クレオパトラ』を見たとき、あまりに酷くてビックリでした。
大物になるとあんな適当な作品を作るようになるんですね。
オカピー
2011年10月22日 17:35
ねこのひげさん、こんにちは。

「大空港」とか「オリエント急行殺人事件」なんかは上手く作られていましたけどね。
この作品は殆どの人物が右往左往しているだけにしか見えないので、そもそも登場させる意味がない感じです。

アメリカのアニメなんかはやたらに脚本家が多くて文字通り「船頭」の口ではないかと思うこともしばしば。
黒澤明監督が最も充実していた頃3~4人でチームを組んで脚本を書いていましたが、「船頭」にならなかったのはさすがです。

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