映画評「おにいちゃんのハナビ」

☆☆★(5点/10点満点中)
2010年日本映画 監督・国本雅広
ネタバレあり

日本映画界も難病映画を何十年も作っているうちにコツを覚えて来たらしく、押しつけがましくなく素直な作品が増えている。前半をコミカルにして唐突に悲劇に変えトーンの一貫性など知ったこっちゃないといった態度の韓国難病映画の泥臭い構成とは格段に違うような印象を覚える。
 という出だしで始めた割に星が低いではないかと思われるだろうが、映画としては何ということはないからである。生来泣き虫の僕には、終盤涙を止められなかったものの、かと言って簡単に良い点を差し上げるわけには参りませぬ。

新潟県小千谷市片貝町を舞台にしたご当地映画でもあります。

400年の伝統がある片貝町に高校生の華(谷村美月)の白血病治療の為に須藤家の一家が越してくる。が、半年の入院を終えて家に帰って来た時に元来大人しい兄・太郎(高良健吾)が引きこもりになっているのに驚いた彼女は兄を何とか外に出そうと四苦八苦、遂に新聞配達を始めさせ、中学同級生たちで構成され成人の年に初めて花火を上げる翠嶂会(すいしょうかい)に参加させる。兄がやる気になったのも束の間病気が再発、年末を前に死んでしまう。

上映開始後75分(全体の60%の位置)という華の早い死去は、本作の主人公が太郎であり、主題が太郎の奮闘・再生にあることを宣言している形である。

一度は絶望の淵に突き落とされた彼は死後に届けられた妹の映像メールに励まされ、自分だけの花火を上げようと花火師を手伝いながらバイト代を全てつぎ込み製作する。

この終盤では、単独製作に専念する為に翠嶂会を辞めた息子の為に両親が土下座をしてまで祭の当日に会に加えさせようとする心理が少々解りにくい。背景が描き足りていないようである。

しかし、幕切れはなかなか良く、タイトルの本当の意味が解って思わずじーんとさせられてしまう。即ち、“おにいちゃんが作った花火”の後に、妹が依頼して作った“おにいちゃんの為の花火”が上がる・・・「おにいちゃんのハナビ」には二重の意味があったということなのであります。

難病映画というより兄妹愛のお話。僕もこんな妹が欲しかったなあ。

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