映画評「カサブランカ」

☆☆☆☆(8点/10点満点中)
1942年アメリカ映画 監督マイケル・カーティス
ネタバレあり

ブログを初めてから古い作品もそれなりに取り上げているものの、天邪鬼にも定評ある作品は余り取り上げていない。「カサブランカ」もその一本だったが、どうも最近の作品が余りに非映画的でつまらないので、映画らしい作品という点からチョイスした。多分4回目の鑑賞。

1941年のフランス領モロッコはカサブランカ、フランスがナチスに牛耳られている為迂回してポルトガル経由で渡米する亡命者や活動家、彼らから上手い餌にありつこうとする利権屋が集まっている。ドイツ軍大佐コンラッド・ファイトの目が光り、フランス人署長クロード・レインズは彼のご機嫌を取ろうと取り締まっている。
 アメリカ出身のハンフリー・ボガートが経営する酒場も彼らでにぎわっているが、ある時チェコ出身の反ナチス活動家ポール・ヘンリードとその妻イングリッド・バーグマンがやって来る。数年前恋仲だったのにイングリッドの裏切り的別離にがっかりしてこの地に流れて来たボガートは彼女の出現に驚くが、複雑な感情が交錯した末結局二人をアメリカに旅立たせる為に策を弄して飛行機に乗せ、邪魔をしようとした大佐を射殺、彼に友情と抵抗心を呼び起こされた署長はしらばくれて部下を遠ざけ、二人で飛行機を見送る。

数年前僕はこの映画がアメリカ脚本家組合の投票でNO.1(の脚本)に選ばれたことに少々驚いた。コンパクトに良く出来た作品ではあるが、製作当時のレベルとしてもとりわけ優れた映画的着想や厳しさがあるわけではなし、僕としては気のきいたメロドラマという評価に留めているからである(必ずしもメロドラマが悪いという意味ではないが)。
 他方、台詞は断然よろしく、台詞に限って言えばNO.1もありうるとは思う。しかし、お話を含めて脚本と言うべきなので、今回見直した後も彼らの選択に些か疑問を禁じ得ないでいる。

そして、本作のおかげで名監督と錯覚されているマイケル・カーティスの演出もズームを適宜に使って場面をスムーズに構築、堅実にお話を繋いでいるが、小道具・大道具の使い方を始め、ウィリアム・ワイラーのような上手さがあるわけではない。野球のラインアップで言えば、7番バッターくらいである。本作でスターダムに登ったイングリッドの魅力、「マルタの鷹」で得た地位を確固たるものにしたボガートの男気の発散がなければここまで名声を得られたであろうか?

外面ハードボイルド内面センチメンタルのボギーは男でも惚れる。ちょっと気障すぎますがね。

「君の瞳に乾杯」は僕らの青春時代の一番人気・高瀬鎮夫氏の名訳。今回関美冬女史もこの訳を踏襲していました。

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この記事へのコメント

ねこのひげ
2011年08月06日 04:59
ねこのひげは、むしろ『君の瞳に乾杯』という名訳をした高瀬さんに賞をあげたいですね。じっさいは違いますからね。最近はこれほどの訳を観ませんね。
『カサブランカ』をはじめてみたときメロドラマという包装紙にうまく包んだ戦意高揚映画だと思いましたけどね。
第二次世界大戦中の1941年ですからね。
でもなんども観てしまいます。
『ボギー君は男だ』でありますね。
中国や北朝鮮のようなあからさまなプロバカンダ映画だったらここまで残る映画にならなかったでしょう。
センチメンタルなメロドラマとスリルとサスペンスが、この映画を永遠な物にしたのでしょう。
敵だと思っていた男が最後には味方だった。
カタルシスですね。
二人の背中に『乾杯』とグラスを上げたくなりますですね。(^^♪
オカピー
2011年08月06日 22:45
ねこのひげさん、こんばんは。

>高瀬さん
当時清水俊二さんと二天王という感じでしたが、わが地方にやって来る映画は殆ど高瀬さんばかりでした。
『君の瞳に乾杯』は"Here's looking at you."だったかな。

>戦意高揚映画
僕もそう思います。
映画中盤にラ・マルセイエーズを歌う場面があって、言わばボギーと署長は最終的に組んで連合軍になりますし。
「カサブランカ」でなくとも、アメリカさんは共産国圏のように野暮なプロパガンダ映画はまず作らない。戦中に作られたものの中には日本人を不愉快にするものはありますが、それでもそう直球ではないですよね。

高級すぎない映画のほうが後世に残ると思うんですよ。僕に言わせれば「ゴッドファーザー」「スター・ウォーズ」「ショーシャンクの空に」「カサブランカ」・・・Imdbの上位に入っている作品は作り方で言えば、ジャンルの意味ではないメロドラマです。

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