映画評「鉄男 THE BULLET MAN」

★(1点/10点満点中)
2009年日本映画 監督・塚本晋也
ネタバレあり

塚本晋也の審美眼と僕のそれとは大分違うらしく肌に合わないことが多いが、「六月の蛇」以降の作品は比較的見やすくなってきたので、苦手意識の強い「鉄男」シリーズ最新作を観てみることにしたものの見事撃沈された。インパクトで押し切ることができただけ前の二作の方がまだ評価できるのではあるまいか。

東京、外資系会社のサラリーマン、アンソニー(エリック・ボシック)は怒りを抑えないといけない体質で、その理由は彼の父親により明らかにされるが、やがてそれが現実に起こる日が訪れる。即ち、3歳の息子を何者かに殺された為怒ると、全身鋼鉄で覆われる鉄男になってしまうのである。やがて息子を殺した犯人(塚本晋也)が現われ、彼の妻(桃生亜希子)を人質にして彼の怒りを待つ。

彼の怒りが頂点に達するとどうも町を吹き飛ばすほどの力を発揮するらしいのだが、この辺りは非常に曖昧で、犯人の目的もよく解らない。東京を爆破するのが目的のような感じの台詞を吐くが、逆のような気もする。最後に彼が元の人間に戻るのも、彼が男を取り込んだからなのか、彼が自分の怒りを抑えることが出来たからなのか、必ずしも判然としない。

といった具合に一人合点と言うべきところが多く、何を見せたかったのか僕程度の頭では理解に及ばない。そして何よりも旧作同様揺れまくって訳の解らない映像が見づらくて閉口、商業映画としては余り良い評価は出来ない。一種のアヴァンギャルドとして観るしかあるまい。

怒りが怪物化をもたらす「超人ハルク」と似た着想なのも、今となるとどうですかね。

リメイクではないが、こんなにスパンが空けば事実上のリメイクと言うべし。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 2

ナイス ナイス

この記事へのコメント

2011年08月25日 14:41
「わからん」「揺れる」「不快」の3拍子。
監督の意図をど返しするほどの
圧倒的存在感があった女優、黒沢あすかの
おかげだった「六月の蛇」があったので
一応、本作観てみましたが
カメラ揺れ始めて数秒後でリタイア。(- -)
プロフェッサーのように最後まで観れる
根性がない私でございまして。
“もう、勝手にしてください!”の感。(笑)
オカピー
2011年08月25日 22:17
vivajijiさん、こんばんは。

通常の手持ちカメラの揺れ方でさえ余り愉快に思わない方ですから、あそこまで意図的に崩されるとこちらの体調までおかしくなりそうでした。
上映時間が70分くらいしかなかったので最後まで観ましたけど、これで2時間あったらリタイアしたかもですね。

この記事へのトラックバック

  • 鉄男 THE BULLET MAN/エリック・ボジック

    Excerpt: 塚本晋也監督の作品といえば浅野忠信さん主演の『ヴィタール』という遺体解剖作業をする主人公を描いた不気味な作品を先ず思い出すんですけど、監督の代表作といえば『鉄男 TETSUO』 ... Weblog: カノンな日々 racked: 2011-08-25 11:41
  • 鉄男 THE BULLET MAN

    Excerpt: 公式サイト。英語タイトル:TETSO THE BULLET MAN。塚本晋也監督・出演、 エリック・ボシック、桃生亜希子、中村優子、ステファン・サラザン。「鉄男」、「鉄男II」に続く3作目。と言っても.. Weblog: 佐藤秀の徒然幻視録 racked: 2011-08-25 12:05
  • 鉄男THE BULLET MAN (2009)

    Excerpt:  鋼鉄と化した心を溶かすのは愛か 憎しみか? 京都シネマにて、鑑賞。平日でしかも、どしゃ降りのせいか、何と私一人。開場まで誰も来ませんでした。シアターはしばらく私だけでしたが、、、、。上映時間が近づ.. Weblog: 銅版画制作の日々 racked: 2011-08-25 23:38
  • 鉄男 THE BULLET MAN

    Excerpt: 塚本晋也監督が1989年に発表した『鉄男 TETSUO』、そして『鉄男 II BODY HAMMER』に続く作品。ただしストーリーとしては別モノ。今回は全編英語による作品となった。謎の男に息子を殺さ.. Weblog: LOVE Cinemas 調布 racked: 2011-08-25 23:48