映画評「危険なささやき」

☆☆☆(6点/10点満点中)
1981年フランス映画 監督アラン・ドロン
ネタバレあり

アラン・ドロンが初めて監督をしたハードボイルド映画で、クリストファー・フランクと共同で脚色も手掛けている。もう四半世紀も前に観たきりだから内容をすっかり忘れていたが、主題歌だけはカセットで聞いていたのでよく知っている。

ドロン扮する刑事上がりの私立探偵が盲人協会で働いている娘の行方調査を母親から依頼された後、彼の目の前で依頼人が射殺され、怪しい人物らに襲われた末に、彼自身が殺人犯にされてしまうが、一連の出来事が痩身クリニックと関連があることを突き止め、最終的に警察も味方につけて乗り込む。

ハードボイルドものらしく色々出入りがあってややこしいところもあるが、派手なカーアクションやバイオレンス・シーン、色気等々と多彩に配分して一通り楽しめる。ドロンの展開ぶりがフランス犯罪映画の伝統通りやや鈍重なのは仕方がないとして、何度もコンビを組んだ監督ジャン=ピエール・メルヴィルやジャック・ドレーに比べてムードが些か安っぽいのは残念。

僕と意見の分かれることの多いallcinemaの解説にも関連しそうなことが書いてあるのでニヤッとしたのだが、リアクションや編集や台詞に香港アクションに似た印象がある。勿論実際は逆で、香港の犯罪絡みの映画がフレンチ・ノワールとマカロニ・ウェスタンの影響を大いに受けていることは様々な作品で確認されている通り。

共演はリュック・ベッソンに抜擢される前のアンヌ・パリローと、ベテランのミシェル・オークレール。

途中から眼鏡を外す美人、幕切れで足に包帯をまいて横たわる主人公。ヒッチコックを意識している?

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この記事へのコメント

ねこのひげ
2011年08月13日 06:15
香港アクションは日活アクションのアクション監督が教えたそうです。
小林旭や宍戸錠のやっていた日本のアクション映画が衰退したので、メシが食えないかと香港に渡ったら、香港映画のアクションがあまりにひどかったので教えたそうです。
その方は何十年も香港映画の影のアクション監督をしていたとか。
ヒチコックは、映画監督の誰しもが真似をしたくなるというか影響を受けるのでしょうね。
オカピー
2011年08月13日 21:49
ねこのひげさん、こんばんは。

60年代後半井上梅次といった日活アクションの監督も香港で映画を撮ったりしていますよね。
70年代のカンフー映画は日本の柔道映画からお話を戴いたものも多いと思います。ただ、演出の粗さが邦画よりマカロニ・ウェスタンっぽいところがありました。

>ヒチコック
こちらが勝手に想像を巡らせているだけかもしれませんけど、実際多いですよね。
2011年08月16日 02:39
オカピーさん、連チャンでドロンですね。
うれしいですよ。
監督としての意図は、クラシックと現代(キャスティングやカメラからの景観、古いジャンルでの若手作家など)の躍動感にあったというのは、よくわかって、一定程度成功もしているとは思ったんですが・・・更に自ら主演というのは、たいへんだったんじゃないですかね。
わたしもアクションよりムードを醸成すれば、もっと良かったんじゃないかなと思っています。
TBした記事はドロン人気の衰退についての内容です。この記事書くのは、とてもつらかったんですが・・・ファンとしては、シビアなところにも眼を向けなきゃなあ、と思ってアップしたものです。
では、また。
オカピー
2011年08月16日 15:56
トムさん、こんにちは。

>連チャン
今月は何日かスケジュールが空いているので「チェイサー」も観られるかもしれません。

>ムード
お話のハードボイルドさは十分ですが、色々要素を詰め込み過ぎてムードが減殺されてしまった感がありますね。
香港映画みたいな廉価な感じが匂うのも僕には今一つでした。

>ドロン人気の衰退について
なかなか興味深いです。
70年代前半には全く予想だにしませんでしたがねえ。数年後に早くもその時がやってきたのには驚きました。

ジョニー・デップの考えられない人気はいつまで?
ドロンの時代と違って強力なライバルがいないということもありますが、今の若い人は他人様の真似が好きだから、2位の十倍の得票数なんて現象が起きています。
ドロンの場合は40を過ぎて間もなく、デップは現在47歳です。尤も人気が爆発したのも40近くなってからですけど。

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    Excerpt:  わたしが、『危険なささやき』を映画館で鑑賞したのは、大学2学年の1983年11月頃のことでした。  『危険なささやき』は、確かに面白い映画でした。「フレンチ・フィルム・ノワール」の体系に位置させる.. Weblog: 時代の情景 racked: 2011-08-16 02:22