映画評「ヤギと男と男と壁と」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2009年アメリカ映画 監督グラント・ヘスロフ
ネタバレあり

最初に“信じられないほど実話に近い(多くの部分が実話である)”と字幕を出しながら最後に“フィクションです”と出るのは、大まかなところでは実話を基にしているが、細かいところは創作である、ということでしょうな。真似をして怪我をしても知りませんよ、というユーモアでもあります。

2003年、妻が上司とくっついてしまったことにショックを受け、見返してやろうとイラク戦争の取材に出ることを決意した新聞記者ユアン・マクレガーが、イラク入国直前にカフェで出会ったジョージ・クルーニーがたまたま以前の超能力者取材で聞いた人物なので興味を覚え、彼に付いてイラク国内に入って行く。
 その部隊はベトナム戦争でショックを受けて旅に出たジェフ・ブリッジスが帰隊後ヒッピー文化に基づき設立したもので、その名も新地球軍。大量殺害兵器を使わずに戦争に勝つのが目的という。クルーニーの能力は雲を消したり(自然現象?)、コインの裏表を当てることしかできず、迷った時に選んだ道に爆弾が仕掛けてあったり、乗った車に犯罪者が乗って監禁されたり、碌なことはないが、マグレガーは次第に彼に惹かれて行く。
 実はクルーニーは元上司のブリッジスに会う為に遥々やってきたのだが、今ではケヴィン・スペイシーの下剋上に遭って全く無気力な状態。再会して意を決した彼らはラリって、実験台にされていた人々やヤギを解放した後、ヘリに乗ったまま行方不明になってしまう。

アメリカや当時のソ連が超能力を軍事に利用していた、若しくはしているのはよく知られている話で、その辺りから適当に風呂敷を拡げて行き、武器を利用しない部隊という設定で戦争を風刺したものと理解したい。因みに、原作はジョン・ランスンのノンフィクション(?)「実録・アメリカ超能力部隊」。

記者の懸命の告発も捕虜に歌を四六時中無理矢理聴かせて(歌わせて?)いたことしかニュースにならないのも風刺だが、風刺としてはそれほど強力ではないので、素材が珍妙な切り口であること、古い映画の数々がパロディー的に扱われ実話ネタに混在していることが主な得点源と言うべし。例えば、プロジェクトの名前がジェダイ計画。本当にそういう名前のものがあったのなら、マグレガーの起用はそこから生まれたものであろうし、その反対に、マグレガーの起用が先にあったのなら、そこから“ジェダイ計画”なる名称が思い付いたと考えられニヤニヤさせられるという次第。

どう判断したものか迷っているものの、素材の過酷な実際面とは逆ののんびりしたタッチを選んだところが却って映画的に興味深い、というのが今のところ本作に対する僕の判断です。

今日は僕の誕生日。子供の時から何かをして貰ったことはないが、今年くらい寂しい誕生日は無いなあ。「山羊の頭のスープ」でも飲みますか。

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この記事へのコメント

2011年07月23日 11:54
こんにちは。
誕生日おめでとうございます。
「山羊の頭のスープ」かけていますか(笑)。
原作読んだんですけどね。大笑いしちゃいましたね。
オカピー
2011年07月23日 14:01
kimion20002000さん、こんにちは。

有難うございます。
ちょっとさびしい誕生日になります。

>「山羊の頭のスープ」
解る人は少ないと思いますが、かけています^^

>原作
一応ノンフィクションなんでしょ?
vivajiji
2011年07月23日 15:41
お誕生日、おめでとうございます。
もうそんなに気を落とさないで下さい。
誕生日は、どなた様もめでたいものです。

すみません。本作 すっかり
忘却の彼方でしたので
TBのみ飛ばして下さってけっこうですよ。
(ぺこり)
オカピー
2011年07月23日 16:57
vivajijiさん、有難うございます。

性分なんで、なかなか浮上できません。<(_ _)>
それでも以前のように映画を観ていても内容が理解できないようなことはありません。映画評の方は相当手抜きになっていますが・・・。

本作に関してはつまらなくはなかったですが、ちょっとピンと来ないところがあったのも事実です。
ねこのひげ
2011年07月24日 06:00
誕生日、おめでとうございます。
ねこのひげは、40過ぎたころからどうでもよくなりましたけどね。
50過ぎたら誕生日など忘却のかなたです。(^^ゞ
東京という大都会で埋没してます。
ソ連やアメリカでは昔からこういうことをやっているという話は根強くありましたけどね。少年マガジンなどが良く書いてました。
子供ながらホントかいな?と思っていましたが、ホントにやっていたんだとあきれました。
それをまた映画にするとは・・・(~_~;)
オカピー
2011年07月24日 16:14
ねこのひげさん、こんにちは。

子供の頃から祝って貰ったことなどないからそういう意味ではなんの変りもないすが、気分的にどこかさびしいです。仕方がありません。

東京ですか。
以前お母様のことをお話されていたので、僕同様にUターンしたのかなと思ったわけです^^ゞ

>ソ連
は超能力大国ですから、十二分に考えられます。
アメリカは某TV番組によりますと、犯罪捜査に所謂千里眼を使うことがあるとか。

>少年マガジン
子供時代によくありましたね。千里眼なんて言葉も漫画雑誌で憶えました。

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