映画評「パリで一緒に」

☆☆☆(6点/10点満点中)
1963年アメリカ映画 監督リチャード・クワイン
ネタバレあり

オードリー・へプバーンが「ローマの休日」でスターダムにのし上がった後最後の主演作(出演作ではない)「暗くなるまで待って」まで上出来な作品ばかりで、唯一「緑の館」がダントツと愚作として記憶される。その次に物足りないのが本作で、当時の水準は十分超えるものの、他の秀作群に比べると大分落ちる。
 僕は本作の基になったジュリアン・デュヴィヴィエ「アンリエットの巴里祭」も観ているし、物足りないと言いながら本作の鑑賞は三回目。オードリーを観るだけで十分楽しめるからである。

酔いどれの脚本家ウィリアム・ホールデンが新しく雇ったタイピスト、オードリーにタイプさせると、そのお話が二人の演じる場面となる。

という趣向で、その中でオードリーはパリ娘、ホールデンは国際警察に追われる男として登場、実は警察のスパイである彼女と恋に落ちる。その間に現実の二人が親密度を増していくのは、言うまでもない。

本作以降似た趣向の作品が作られているから初めて観ても既視感を覚えると思うが、この映画に面白さがあるとすれば、勿論大半は最初の脚本を書き下ろしたデュヴィヴィエとアンリ・ジャンソンのおかげ。僕が感じた面白味は、着想がそのまま映像になっていくというアイデア自体より、その劇中劇の中で登場人物が作品を意識しているメタフィクションとしての面白さである。

またオードリーの役名がギャビーであることなどから、作者たちは劇中劇のお話を考えるにおいてデュヴィヴィエの「望郷」に敬意を払い、併せて「カサブランカ」との混合を図ったようである。

基本アイデアは悪くないだけに、クワインのセンスがもっと垢抜けスタンリー・ドーネンやビリー・ワイルダーくらいの軽妙さを持っていれば、オードリーの他の主演作品の水準に近づいたかもしれない。

★一つ分はオードリーのおかげです。

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この記事へのコメント

ねこのひげ
2011年06月13日 08:41
これはオードリーのたねのオードリーによるオードリーの映画という感じでしたね。
オードリーの美しさを楽しむ映画といったところでしょうか。
オカピー
2011年06月13日 20:05
ねこのひげさん、こんばんは。

>オードリー
「麗しのサブリナ」に続いて二度目の共演になるホールデンさえ物足りない感じがしましたね。

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