映画評「Dr.パルナサスの鏡」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2009年イギリス=カナダ映画 監督テリー・ギリアム
ネタバレあり

ヒース・レジャーが急死したことにより製作続行が危ぶまれたテリー・ギリアムのファンタジー。

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旅芸人一座を率いるパルナサス博士(クリストファー・プラマー)は、娘ヴァレンティナ(リリー・コール)が16歳になるのを恐れている。千年前の契約に基づき彼に永遠の命を与えた悪魔ミスター・ニック(トム・ウェイツ)との別の契約で、16歳の誕生日に悪魔に差し出すことになっているからだが、5人の人物を彼の発明したイマジナリウムなる幻想を生み出す装置(入口が鏡になっている)に導き、彼の理想とする節度ある方向に進ませることが出来たら契約を反故にすると悪魔に言われる。
 折しも一座が橋で宙吊りになっているところを救出した記憶喪失の人物トニー(ヒース・レジャー)が口の上手さを発揮して見事女性たちを呼び込むが、あと一人というところで娘に悪魔との契約を知られて状況が混乱してくる。

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途中でゲーテやクリストファー・マーロウが戯曲化したファウスト伝説をギリアム流に焼き直したファンタジーと解ってしまうと「な~んだ」ということになりかねないが、お話よりはイマジナリウムの中におけるシュールリアリスティックな造形の面白さにより得点獲得といったところ。旧作「バンデットQ」や「バロン」に近い作品世界と言えばこれらの旧作を観た方なら凡そ想像が付くでしょう。古い人間とすれば、CG(VFX)ではなく美術とSFXのコラボレーションで観たかったと思いますな。

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さて、レジャーは現実部分を撮り終えたところで急死したようで、彼の友人と言われるジョニー・デップ、ジュード・ロー、コリン・ファレルがそれぞれの欲望を反映する幻想の中で顔の違うトニーとして次々に登場する。各人の好みを反映するので顔が違うという、幻想というギミックを上手く利用した秀逸なアイデアで、【怪我の功名】とは言わないまでも【人間万事塞翁が馬】とくらいは言って良いのかもしれない。

ジョニー・デップに【一番似ているで賞】を進呈致しますです。

この記事へのコメント

シュエット
2011年03月01日 09:32
ご無沙汰でした。数ヶ月ぶりでございます。
新しい記事から順に繰っていってまずはこれに。
結構楽しませてもらった映画です。
<お話よりはイマジナリウムの中におけるシュールリアリスティックな造形の面白さにより得点獲得といったところ。>
同感。上手いなって思った。そうちょうど世間ではアバター一色で、うんざりしていたもんだから、こういう作家のイマジネーション溢れる世界にルンルンでした。同じ頃公開だったピーター・ジャクソンの「ラブリーボーン」で描かれたあの世とこの世の境の世界。それからティム・バートンの「アリス・イン・ワンダーランド」。それぞれが引き継いだ役回り。違和感なく面白かった。こうやって較べるとヒース・レジャーが一番演技に色気があるなって思う。つくづく惜しいなって思った映画でもありました。
コメント一つ入れさせていただきました。
ご無沙汰期間の記事にあちこちコメント入れさせていただくかもしれませんがご容赦くださいね。
ではでは今後とも宜しく!です。
オカピー
2011年03月01日 22:55
シュエットさんお久しぶりです。<(_ _)>

僕は「アバター」は割合気に入りましたが、あちらがデジタル的な造形であるとすれば、こちらは完全にアナログ的ですよね。
だから僕は「美術とSFXで観たかった」と申したわけです。

「ラブリーボーン」は今月、「アリス・イン・ワンダーランド」も近いうちに観られると思います。ファンタジーが多い時代。CGがあればこそですね。

>ヒース・レジャー
僕が意識しですぐに亡くなったので、シュエットさんのような感慨は出てきませんでしたが、「ダークナイト」を観るにつけても可能性のある男優ということがよく解りました。残念では済まされない逸材でしたね。

コメント大歓迎です。まだ父親の方が落ち着かないので、じっくりとコメントできないかもしれませんが、宜しくお願い致します。

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