映画評「理由なき反抗」

☆☆☆☆(8点/10点満点中)
1955年アメリカ映画 監督ニコラス・レイ
ネタバレあり

言わずと知れたジェームズ・ディーン主演第2作。監督のニコラス・レイに注目する向きもあるだろうが、ヌーヴェルヴァーグ一派の彼への評価は過大と思うという程度に留めておきましょう。

新しい街に越して来たばかりの高校生ディーンが泥酔していた為連行された警察署で、夜間外出で保護された少女ナタリー・ウッドや犬を拳銃で撃ったかどで取調べを受けているサル・ミネオと知り合う。
 翌日学校へ出かけた彼はナタリーと一緒にいる不良グループに挑戦をけしかけられ、番長のコーリー・アレンと崖まで車を走らせ落ちる寸前に飛び降りる遅さを競うチキン・ラン(チキン・レース)を行なうが、相手は飛び降りるのに失敗して死ぬ。

このチキン・ラン場面の後年の映画への影響は大で、「ワイルド・スピード」シリーズなどもじったと思われる映画が少なくない。

さて、彼は事件について正直に告白しようとしたのに相手にされなかった警察署からの帰り道ナタリーと出会い、ミネオに教えて貰った無人屋敷に遊びに行く。が、後で加わった情緒不安定のミネオは、ディーンが警察に告げ口をしたと思い込んで追い掛けて来た不良たちを恐れる余り精神が錯乱して拳銃を振り回し、ディーンの努力も空しく警官に撃ち殺されてしまう。

ディーンが寝転ぶ第一シーンが主演第1作「エデンの東」の豆畑のシーンにそっくりなのが微笑ましく、そこから家族との関係に悩む若者三人が一堂に会するまでスムーズに展開、以降ディーンとナタリーが漠然とした両親への不満に苛まれる様子を綴って行く。見た目の派手さは少ないが、本作の優れているのは寧ろこの前半で、両親や大人に対しそこはとなく抱いている彼らの不満にシンパシーを覚える人が少なからずいらっしゃるだろう。

サスペンスフルな終盤は見た目と逆に映画としては甘く、特に両親との和解は調子が良すぎる感がある。和解そのものではなく、和解までの段取りに問題があるのだ。「エデンの東」における父子和解までの緻密な描写とは大分差があると言わざるを得ない。

ディーンはやはり魅力的でした。

チキン・ランをする時は長袖はやめましょう、という教訓(嘘)。

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この記事へのコメント

2011年02月15日 23:32
この映画のジェームズ・ディーンにあこがれて赤いスウィング・トップのジャンパーを高校時代着てました。(笑)もちろんリアルタイムじゃないですよ!!ワイルド・スピードはシリーズ追う毎にチンプな感じになってるような気がしませんか? 特に日本を舞台にしたやつはひどかった。
オカピー
2011年02月16日 13:56
ロック仙人TFさん、こんにちは。

>もちろんリアルタイムじゃないですよ!!
皇太子世代の僕と同じか少し上くらいかと想像しておりますが・・・(笑)

>ワイルド・スピード
一作目が一番面白かったと思います。
三作目はお話の阿呆らしさもさることながら、日本を舞台にしているのに日本の若手俳優が重要な役で出て来ないのも、日本の映画界を嘆くべきなのか、ハリウッドの態度に怒るべきなのか、という感じでした。
2011年02月16日 23:27
皇太子世代!!正解です!!本当にハリウッド映画での日本人の描き方にはあきれます。大抵中国系の人を使いますよね。まぁマコと石橋凌とか出てるけど、渡辺謙も変な役ばっかしだし・・・ブツブツ。話は変わりますが「特効野郎Aチームザ・ムービー」は見ましたか?ハリウッド映画もこのくらいハチャメチャだとまだ許せるかな?
オカピー
2011年02月17日 00:20
ロック仙人TFさん

>皇太子世代
やはり^^)v
御記事「諸事雑感!!〔ロックの50年、究極の500枚〕をチェックしてみて」という記事の内容から、同じ世代かなと感じたんですよ。
80年代半ばで現在進行形が段々面倒臭くなり、90年代になると曲とアーティストが一致しなくなり、00年代で殆ど聴かなくなったという僕の経緯と結構似ていたりしましたから。

>マコ
は逆に若い頃中国人の役を結構やったりしましたね。

>「特効野郎Aチームザ・ムービー」
衛星映画で観ることが多いのでまだ観ておりませんが、恐らく今年の夏くらいにWOWOWで観られると思います。頭に入れておきますね^^
2011年02月23日 20:13
オカピーさん、こんにちは。
わたしは、ジミーの作品では、この作品が最も好きです。
何故なら、この主人公こそ、ジミーそのものであり、彼はわたしの親の世代であるにも関わらず、わたしの世代と全く同じ感性だからです。裕次郎→マッチ、としちゃん、ナタリー・ウッドは、明菜です。
年齢的には、まだ社会的な批判力は備えてはおらず、精神的にも自立できていない微妙なところが、ジミーと我々観客との壁を取り払っているように思うのです。
これは「ジャイアンツ」や「エデンの東」よりも鮮烈だと思います。オカピーさんの8点はうなずけますね。
わたしが残念なのは主題曲でしょうか。50年代のニール・セダカやポール・アンカを、ジョージ・ルーカスのように、じゃんじゃん使ってほしかったなあ。

最近、中学校のときのクラス会に行ってきて、時代・世代感覚がぐちゃぐちゃになっているときに、こちらの記事が目にとまりました。

では、また。
オカピー
2011年02月24日 00:37
トムさん、こんばんは。

ジミーの主演三作の中では、若者たちのそこはかとない大人への不満、社会への苛立ちを描いたという意味で最も普遍性のあるお話でしょうね。

>主題曲
ふーむ、55年ではちょっと無理かな。
あの当時「暴力教室」における「ロック・アラウンド・ザ・クロック」のように一曲だけ主題歌として既成曲が使われることはありましたが、複数はまずなかったでしょうね。「
卒業」のS&Gや「小さな恋のメロディ」のビー・ジーズの使用を経て「アメリカン・グラフィティ」が既成曲使用に革命を起こすのを待つ必要があるということになりますね。
また、厳密に言うと、アンカやセダカはもう2年くらい後です。^^
プレスリーの「ハートブレイク・ホテル」でさえ56年ですから、やはり「ロックアラウンド・ザ・クロック」辺りに落ち着くみたいです。他に、チャック・ベリーの「メイベリーン」とかファッツ・ドミノの「エイント・ザット・ア・シェイム」とか。
1955年はロックンロール元年と言われるように、この映画はこの年に生まれるべくして生まれたと言えるかもしれませんね。

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