一年遅れのベスト10~2010年私的ベスト10発表~

群馬の山奥に住み、体調も万全とは行かず、WOWOWを中心にした映画鑑賞生活ですので、僕の2010年私的ベスト10は皆様の2009年にほぼ相当する計算でございます。初鑑賞なら何でも入れてしまうので、時々とんでもなく古い作品も出てきたりしますが、悪しからず。

因みに2010年の鑑賞本数は父親の看病にかなり時間を取られた為に、読書の時間を大幅に減らしたにも拘らず、例年は勿論3週間強の入院を余儀なくされて減った一年前よりさらに少ない400本(短編6本含む)、再鑑賞作品は37本。つまり、363本が初鑑賞。初鑑賞の作品数に関してはまずまずの数でしょうか。

では、早速参りましょう。

1位・・・グラン・トリノ
アラウンド80歳にして益々絶好調の監督クリント・イーストウッド。従来より監督としては多少アマチュア的な良さの残るロバート・レッドフォードのほうをご贔屓にしてきましたが、これはプロの作品として文句なし。西部劇的展開にしながら西部劇とは真逆にアメリカはこれからどう進むべきかというテーマを打ち出した辺りは正に現在の映画と言って良いでしょう。移民問題を絡めた秀作が多い年でもありました。

2位・・・幸せはシャンソニア劇場から
ジュリアン・デュヴィヴィエ、ルネ・クレール、マルセル・カルネ・・・1930年から40年代のフランス映画が蘇ったような印象に舞い上がってしまって、この位置でございます。

3位・・・スラムドッグ・ミリオネア
回想形式やカットバックなどどちらかと言えばオーソドックスな手法で巧みにスラム街出身の少年の半生を描いて楽しい作品でした。エンディングのミュージカル場面は、マサラ映画(インド製ミュージカル)へのオマージュではなく、英国ミュージカル「ジョアンナ」を参考にし表敬したものと思われまするぞ。

4位・・・湖のほとりで
刑事を狂言回しに、ある殺人を巡って判明してくる人間模様。ミステリーと言っても良いし、ミステリー仕立てのドラマと言っても良い。イタリア映画というより北欧映画的な厳粛なムードに惚れ込んだ逸品。

5位・・・チェンジリング
同じ監督の「グラン・トリノ」がなければこれを1位にしても良かったくらい。隠喩的な部分もある「グラン・トリノ」よりぐっとストレートなドラマにして、麻薬の横流しといったありがちなものではなくもっと人間の尊厳にかかわる官憲の悪徳を取り上げて新味がありました。しかも、それを社会劇にするのではなく、母親の愛という普遍的なテーマにしたところが殊勲。母親の執念即ち愛情をテーマにした作品の増加もここ数年の傾向ですね。

6位・・・扉をたたく人
上述した移民問題を取り上げた秀作で、一人の孤独な大学教授を狂言回しに9・11以降アラブ民族を不当に差別するようになったアメリカの現状を浮き彫りにする。出国の場面でアメリカ国旗がぼやけてホワイトアウトするショットに作者の絶望が感じられました。その逆に国旗に焦点が合って多少の希望を感じさせる「正義のゆくえ ICE特別捜査官」も捨てがたい佳作でした。

7位・・・古都
遂に出ました、1963年製作の古い映画(笑)。市川崑監督=山口百恵主演のバージョン(これもなかなか良かった)ではなく、文芸映画の名手・中村登監督の名品。日本的情緒が心に沁みますぞ。
 日本映画は大旧作のこれ1本のみ入選とは、しかし、寂しいですなあ。話題を呼んだ「劔岳 点の記」は撮影の迫力とその苦労が取り沙汰され高評価が目立ちますが、作劇的には相当ルーズで選外。

8位・・・母なる証明
「チェンジリング」の母親に比べると大分親バカ的なところもありますが、実はこの“バカ”というのがこの作品を語る上で避けられないキーワードと思います。強い愛情は人間を愚かにするということがよく解る作品なのでした。映像の馬力も物凄い韓国ポン・ジュノの力作。

9位・・・ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女
横溝正史もびっくりの見立て殺人が出てきてミステリー・ファンが随喜の涙を流すであろう北欧産のミステリー映画。最近としてはかなり本格的なミステリーと言えましょうか。悲劇性の中に女VS男という構図も楽しめる仕組みになっております。

10位・・・エスター
50年くらい前の恐怖映画の佳作「悪い種子」を彷彿とし、さらにパワーアップしたような怖さにブルブル。惜しいのは、種明かしによりその怖さが減じてしまうこと。観ている最中恐怖におののいた事実には変わりがないのでランクインさせました。

次点・・・レスラー


画像


ワースト・・・マイケル・ジャクソン キング・オブ・ポップの素顔
(救いようのない1点の作品を選ぶのは初めて。)


****適当に選んだ各部門賞****
監督賞・・・クリント・イーストウッド~「グラン・トリノ」「チェンジリング」「インビクタス/負けざる者たち
男優賞・・・フィリップ・シーモア・ホフマン~「その土曜日、7時58分」「ダウト~あるカトリック学校で~
女優賞・・・エイミー・アダムズ~「ダウト~あるカトリック学校で~」「サンシャイン・クリーニング」「ジュリー&ジュリア
脚本賞・・・ニック・シェンク~「グラン・トリノ」
撮影賞・・・トム・スターン~「グラン・トリノ」「チェンジリング」「インビクタス/負けざる者たち」「幸せはシャンソニア劇場から」
音楽賞・・・「キャデラック・レコード 音楽でアメリカを変えた人々の物語」(僕の音楽熱が再燃してしまった憎い映画)
特別賞(別名ご苦労だったで賞)・・・「劔岳 点の記」

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この記事へのコメント

2011年01月20日 02:10
こんにちは。
「古都」は見ていません。
レンタルで借りて、「日本」に浸ることにいたしましょう。
「ミレニアム」は2を見たところだけど、面白いですね。3が楽しみです。
2011年01月20日 15:43
約半世紀前の「古都」1本で邦画ふんばる!(笑)
邦画よ、お前はどこへ行こうとしてるのか~
邦画元気とか動員数がすごい、とか
それこそ半世紀映画を観てきた者からすると
あのちゃらけた内容と子供じみた演技者での
垂れ流し公開作品、映画とも言えないような映画の
パレードに私どもなど首ガックンとなるくらい
理解不能な現象が展開されておりますね~

こうして見ますとけっこうミニシアター系作品も
半数近くお選びになっていらっしゃる。
よく行く当地最小封切り単館系映画館
「シアター・キノ」で観たものが3本、
どうか存続して下さいスガイ劇場で観たのが
2本入っておりますね。昨年個人的にベストと
ほめちぎっております「湖のほとりで」が
選ばれているのはほんとうに嬉しい限りです。(^ ^)
オカピー
2011年01月20日 22:59
kimion20002000さん、こんばんは。

>「古都」
市川崑版のほうが現在では手にしやすく、出来栄えもなかなかなので、ご覧になっていなければ、代替として一応お薦めできます。

>「ミレニアム」
第1作が面白かったので、今年中に観られることを期待しております。
オカピー
2011年01月20日 23:19
vivajijiさん、こんばんは。

>邦画元気
TV局が中心になって、TV層を動員しているだけですから、映画ファンという人種自体は減っていると思いますね。

>映画とも言えないような映画
評価基準を低くせざるを得ないのが現状で、一応標準としている作品も20年前の基準なら★一つ場合により二つくらい少なくて良いです。^^;
TV局が中心になって作った映画は長くて無駄だらけ、大袈裟で白けます。

>ミニシアター系
僕は大衆映画を愛する人種ですが、メジャー系や純娯楽映画系に良いものが全く少ないですね。もっとミニシアター系と拮抗して欲しいものです。

>「湖のほとりで」
静謐さと厳粛さにぐっと胸を掴まれましたね。
賑やかなアメリカ映画群の合間に見ると、心が洗われる感じです。^^
2011年01月24日 08:52
オカピーさん、こんにちは^^
TB&コメント、ありがとうございましたm(__)m
イーストウッドの監督としての手腕は、この映画の前後で
本当に評価されていますね。
俳優として観れなくなってしまったのは残念ですが、
チョイでもいいから顔を出して欲しいと願います。
アンジーの迫真の演技も印象に残った年でした!
オカピー
2011年01月25日 00:06
cyazさん、こんにちは。

>イーストウッド
天邪鬼を貫き通してきて世間ほどは評価してこなかったのですが、去年(日本公開は一昨年)観た二作は僕の鑑賞スタンスでも実に充実していると言える出来栄えでした。

>俳優として
映画が作れる体力があるのだから、出演も十分可能でしょうが、作品製作に傾注したいということなんでしょうね。

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