映画評「血まみれギャングママ」

☆☆★(5点/10点満点中)
1970年アメリカ映画 監督ロジャー・コーマン
ネタバレあり

1960年代前半恐怖映画を粗製乱造していたB級映画の帝王ロジャー・コーマンは後半になるとすっかり趣きを変え、ニューシネマの流行に乗ったところもあろうが、犯罪映画を作り始めた。
 本作は1930年代アメリカ各地で強盗を繰り広げたバーカー一家の実話を映像化した1970年製作作品で、3年前のアーサー・ペン監督「俺たちに明日はない」を意識して作られたに違いない。日本劇場未公開。

息子たちが近所の娘に暴力をふるった嫌疑で保安官に嗅ぎまわられるのを嫌がったケイト・バーカー(シェリー・ウィンターズ)が甲斐性のない夫を捨てて長男ハーマン(ドン・ストラウド)、三男ロイド(ロバート・デニーロ)以下4人の息子たちと旅立ち、息子たちの強盗で不況の時代を何とか生き抜くが、どうも心許ないと自分で指揮権を振るうようになる。綿花成金の誘拐はドタバタの末に辛うじて成功、やがてのんびり過ごそうとしたフロリダで不行状を管理人に見られて結局FBIに囲まれてしまう。

犯罪行脚という意味では「俺たちに明日はない」の二番煎じだが、通常なら咎めるべき母親が音頭を取るというのは今観ても新味あり。彼女がかかる怪物になったのは、少女時代に家族愛に恵まれなかった為に、自分をいつまでも助けてくれる息子を持つという決意をしたからだとプロローグで説明されていて、いつまでも子離れさせない母親とその息子たちの関係は心理学的に一通り興味を呼ぶ。ピクニック気分の道中描写も面白い。ピクニック気分と言えば、一家とFBIの銃撃戦をシーツに坐ってのんびりと眺めている一団もいましたな。

その一方、お話の進行具合はペンと比較する気にもならない程字足らず的でフィルムが余り上手く繋がっていないが、どなたかが評価するように“へたうま”の魅力はあるのかもしれない。僕は“下手さ”のほうが気になってしまうのですけどね。

シェリー・ウィンターズは既に大迫力の体型になっているとは言え、2年後の「ポセイドン・アドベンチャー」に比べればまだまだ発展途上の感(笑)あり。今となってはデニーロの出演にも要注目。

因みに、コーマンはこの企画が気に入ったらしく製作者として「ビッグ・バッド・ママ」「クレイジー・ママ」(後者は日本劇場未公開)という同工異曲作品を作っている。

「陽のあたる場所」も今は昔。意味解るかなあ。

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この記事へのコメント

シュエット
2011年03月04日 17:08
ごめんなさいね、あっちこっちTBベタベタ貼ってコメントいれて。でも今日はこれだけは!で、一連の作品をWOWOW放映アウトロー伝説でまとめたのTBします。
確かにアラアラなんだけど、なんかこの映画は、ある一家の物語ってところでっ好きだわぁ。
話が横にそれるけど、本作とか「白熱」みていて思ったのが、母性が息子を駄目にするって構図に、背景の時代も映画がつくられた時代もずっと男性優位社会なんだナァってこと。
この国は自由の国なんだ。私は自由が欲しいんだ。自由になる為には金が要るんだっていうセリフなんぞにも、つくづくこれがアメリカだなって思った。
アラアラだけど、結構あれこれ見えてきて楽しませてもらった映画でした。
レビューみたら、ついあっちもこっちもとなってしまって本当にごめんなさいね。無視してレビューアップに力注いでくださいね。
オカピー
2011年03月08日 22:19
シュエットさん

「俺たちに明日はない」のヒットに乗って作られた一作でしょうし、相当安っぽいですが、記憶に残る作品とは言えそうですね。
僕はこういう作品は誉めずに楽しむことに徹します。^^

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