映画評「クヌート」

☆☆★(5点/10点満点中)
2008年ドイツ映画 監督マイケル・G・ジョンスン
ネタバレあり

先日もどこかのTV局で観た記憶がある、ベルリンの動物園で人の手により育てられたホッキョクグマの子熊クヌートを中心に据えて展開した動物ドキュメンタリー。

クヌートは母親に育児放棄された為に動物園の飼育係トーマス・デルフラインの甲斐甲斐しい世話を受け、すくすくと成長する一方で、人間が育てるのは動物愛護の精神に反すると安楽死させるべきだという声も上がる。こういう類の意見は水掛け論になるのが落ちで、一度救った命をないがしろにすることに賛成する人は少ないだろうし、クヌートは勿論そのまま育てられることになり、その後人気者になって現在に至る(映画では生後半年くらいまで)。

一方、北極では一頭の雌のホッキョクグマが三つ子を儲け結局子供を引き連れ(一頭は途中で死亡)に食糧探しの旅に出る。ご存知の方も多いと思うが、母熊は三カ月の間何も食べない。子熊には雄熊(究極の阿呆! まるで人間を見るようだ)に襲われる可能性すらある。
 また別のところでは母熊を人間に銃殺された二頭のヒグマの子供が命を長らえる為人里に接近するなどの冒険を繰り広げる。

人間に庇護されているクヌートと日夜死の危機にさらされている後者二組とは明確に立場の違いがありながら、人間が鍵を握っているという点で変りはない。片や個の生命、片や種の保存という意味でである。
 そして、それが本作の言わんとするところであろう。そこに更なる地球温暖化の回避という作者の願いがあるわけだが、最近の動物ドキュメンタリーのテーマは常にそこに収束するし、この類の作品を観るようなタイプの人間にとって言葉ではっきりと言ってしまうのは味気ない感じがする。秀作「ディープ・ブルー」のように映像だけで観客を圧倒するのが自然ドキュメンタリーは一番である。

また、ホッキョクグマ母子の旅はここ数年何度もほぼ同じものを見せられているので「またか」という気持ちになるので、後発の作品は損。従って、もしこの類の作品を初めて観たと仮定すれば☆一つ分くらい余計に進呈できるかもしれない。

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