映画評「人生は、奇跡の詩」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2005年イタリア映画 監督ロベルト・べニーニ
重要なネタバレあり。未鑑賞者の方は自己責任でお読みください。

今日は、ブログ6年目の第一日目ということになります。今後ともご贔屓の程お願い申し上げます。

ロベルト・べニーニの監督・主演作品としては日本でも大いに話題になった「ライフ・イズ・ビューティフル」と共通点が多いヒューマン・コメディー。邦題も配給会社が旧作を強く意識して付けたと考えられる。

詩人ベニーニが連日その結婚式の場面を夢に見るほど憧れている女流伝記作家ニコレッタ・ブラスキが、取材対象としているイラク人詩人ジャン・レノと同行したイラクで爆撃で重傷を負って昏睡状態に陥る。
 それを知らされた彼はイラク行きの民間便が利用できない為に援助隊にうまく紛れ込んでバグダッドに到着するが、彼女が眠っている病院には碌な設備がなく医薬品も決定的に不足していることを知り、殆ど無の状態から薬を作ってみたり、バイクとラクダに乗って近くまでやって来た赤十字と接触して薬剤等を大量に持ち帰ったり東奔西走、遂に奇跡が起きて彼女は覚醒する。

主人公のどんな苦難にも諦めない態度と涙ぐましい努力に胸が熱くなりなかなか感動させられるが、映画的に断然素晴らしいのは、イタリアに戻った彼が娘たちと暮している“前妻”に逢いに行く最後のシークエンスである。“前妻”とは即ちニコレッタで、イラクで名も知らぬ天才医師に助けられたと信じていた彼女が彼が首に下げていたネックレスにより救命に奔走してくれたのが前夫であると気付く、というところが上手い。
 我々にしてもここに至って初めて実は彼が追いかけではなく、妻に未練を持っている夫であることを知らされ、その思いにじーんとさせられることになる。二人の関係を意図的に隠した作劇が増幅させる感銘と言うべし。

製作当時50歳のベニーニが主人公に扮した前作「ピノッキオ」にはさすがに首を傾げさせられたが、本作はイラク戦争を巡る風刺をまぶしたお笑いを含め好調。

邦題は「ライフ・イズ・ミラクル」としたかったけれどこの題名の作品が前年公開されたばかりだったので日本語にした、といったところでしょう。

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この記事へのコメント

2010年09月02日 18:08
まさか、最後にそういう展開が来るとは思わずに読み進めていったので、少し後悔。
でも多分、分かっていても面白いに違いないとも思っておりやす。

「ライフ・イズ・・・」もラストが感動的でしたが、ベニーニさん、作劇の名手のようですな。
オカピー
2010年09月03日 00:41
十瑠さん、こんばんは。

>少し後悔
ご、ごめんなさい。<(_ _)>
十瑠さんのような失敗をされないように、ちょっと注意を喚起するように赤の部分を書き替えました。
本作の場合は評価の一番のキモだったものだからどうしても避けきれず・・・

ネタバレを身上(信条?)とする僕も、ミステリーの謎ときとどんでん返しの内容だけは明かさないようにしているのですが、本作の最終幕は本当は知らないで観た方が面白いでしょうが、わざわざ原作を読んだ上で映画をご覧になる方もいらっしゃるようですから、お許し戴されば幸いであります。恐惶謹言。

「ライフ・イズ・・・」のほうが一般受けするような気はします。
シュエット
2010年09月10日 14:50
最近はTBなしのコメントのみの作品も多くってオカピーさんもご苦労様って言いたくなる(笑)
でも6年目ですかぁ!
最敬礼です!
私なんか最近はとんと更新なしが続いておりますが、間口を狭めて細々と書き綴っていきましょうと思っていますが、こと映画に関しては今後ともよろしくお願いいたします(ペコリ)
さて本作、劇場で観たきりで記憶はかなり薄れているんだけれど、ベニーニさんの味とあいまってなかなかに人生を感じさせられる人情物。主役がベニーニならでは、だからこそもあるでしょうね。
暑さに加えお父上の看病で体力使う日々にこんな人情溢れる作品は嬉しいでしょう?!
オカピー
2010年09月11日 00:04
シュエットさん

>コメントのみ
TBもコメントも気持玉も有難いです。^^
忙しくてこちらからコメントしに伺えていないのが心苦しい毎日。

>間口を狭めて細々と
シュエットさんは当初もの凄いペースでお書きになっていましたものね。
適度なペースでなが~く続けて戴けるようお願い致します。<(_ _)>

>ベニーニ
「ピノキオ」はさすがに苦しかったですけど、これはなかなか良かった。

>父
実は8月19日に動脈瘤がある為に死を賭して頸椎の手術をしたのですが、手術前より具合が悪く殆ど寝たきり状態になってしまいました。手術が遅すぎた可能性があります。
だから当初最後の一文は「僕の父にも奇跡が起こって欲しい」でした。作品は嬉しかったですが、もっと嬉しい出来事が起きて欲しいものです。

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