映画評「ある公爵夫人の生涯」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2008年イギリス=イタリア=フランス映画 監督ソール・ディッブ
ネタバレあり

ジョシュア・レーノルズの肖像画で知る人ぞ知るデヴォンシャー公爵夫人の実話。

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1774年の英国、17歳でジョージアナ・スペンサー(キーラ・ナイトリー)が母親(シャーロット・ランプリング)の政略で第5代デヴォンシャー公(レイフ・ファインズ)と結婚。有名な貴族だから彼女としても乗気だが、相手の結婚の目的はただ一つ正嫡男子を産んで貰うことで、やがて愛のない結婚であることに気付かされる。
 浮気症の彼が調子づいて彼女の友人エリザベス・フォスター(ヘイリー・アトウェル)を出すに至って夫婦仲は完全に冷却、彼女は社交の場で再会した若手政治家チャールズ・グレイ(ドミニク・クーパー)との愛を育み一女を儲けるが、結局子供たち(三女一男)との絆が彼との愛を諦めさせる。

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というお話で、エリザベスとの奇妙な二人妻生活はジョージアナの死(1806年)まで続いたという解説が入る。

数年前にどこぞの大臣が発言した「女性は子供の産む機械」という言葉を嫌でも思い出してしまう物語だが、近世までならどの国でも、まして上流階級においては、似たようなものであっただろう。

多少風変りなお話ではあるが、結論は極めて常識的な“子はかすがい”であり、作り方としても彼女の子を思う苦悩をピークに配置したエピソードの横並び的な作りに過ぎず、映画として余り面白いとは言いにくいものの、子供が彼女の人生の救いになり、またグレイの将来を思って身を引いたと考えれば多少印象も変って来る。

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特に後者は、グレイが首相にまで登りつめたことを考えるともっと強調しても良かったかもしれない。実際のグレイはジョージアナより7歳年下だから彼女が結婚した時は僅かに10歳、事前に恋が胚胎する要素はなかった。映画はヒロインを実際より悲劇的に扱い彼女自身の印象を良くする為にグレイを同世代に見せて結婚前に既知の仲だったとする変更を行ったのだろう。

ヒロインが旧姓から想像されるようにダイアナ妃と繋がる系列であるということから我々にもお馴染みである妃の半生をオーヴァーラップさせる狙いがあったようで、女性観客には受ける可能性が高い。

超重量級の衣装とかつらの再現が時代風俗的に興味深く、見どころ。

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この記事へのコメント

シュエット
2010年09月10日 15:59
女性受けを狙ったのがミエミエみたいで、内容はさしたる期待はできないなって、劇場鑑賞はスルーしました。最近、受け狙い的な作品が多くって…。
>ダイアナ妃と繋がる系列であるということから我々にもお馴染みである妃の半生をオーヴァーラップさせる狙いがあったようで、女性観客には受ける可能性が高い
高かったのかな?巷の評価はどうなんだろうかしら?
絵空事って言ってしまえばそれまでなんだけど…。
ただ、衣装は大いに楽しませてもらった作品といっていいでしょうね。ソフィア・コッポラの「マリー・アントワネット」も衣装に関しては楽しませて貰ったけど、本作もそれに負けず劣らずで。女性にはそれだけでも満足だったかも。私の友人にもこんな時代の映画の衣装を観るのが楽しみっていう人もいる。
オカピー
2010年09月10日 23:51
シュエットさん

巷はともかく、女性のミーハーちゃんには受けるのではないでしょうか。
男性ファンには余りピンと来ない作品だったと思います。

>絵空事
お話の8割くらいは実話ですけど、扱いがね。

>衣装
男性諸氏は車とか銃とかに喜びますが、女性は衣装でしょうか。
僕なんかは衣装には全く疎くてもなるべく楽しむようにしていますよ。^^;

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