映画評「犬の生活」

☆☆☆☆(8点/10点満点中)
1918年アメリカ映画 監督チャールズ・チャップリン
ネタバレあり

チャールズ・チャップリンの33分の中編映画、初期の代表作である。

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失業者チャップリンが野宿をしていると、警官に追い立てられる。他の犬に追い立てられる野良犬に同情して服の中に隠して酒場に入り、ちょこっと出ている犬の尻尾が太鼓を叩くという情景で笑わした後、歌手にして女給のエドナ・パーヴィアンスに酒をねだられても金がない為に主人に追い出され、彼女も稼ぎが悪いと首になる。
 が、泥棒二人組が盗んで埋めた財布を「花咲爺さん」よろしく犬が掘り当て、財布を取り返しに迫る二人組をやっつけて、二人はめでたく田舎で平和な生活を始める。犬にも子供が生まれる。

研究家ではないので定かではないが、チャップリンはファースト・ナショナル社に移って上映時間を長くしたこの作品辺りから笑いに情を深く混ぜるようになったと思う。
 序盤主人公が哀れな犬に同情を寄せる場面から抜群で、単なる同情を超えて寝る場所もない自分の分身を見出した心境であることがよく解るように警官に追われる主人公と他の犬に追われる犬を重ねている。

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アクションも見事で、警官をまいてしまう空地の場面に続いて、職業安定所で他の失業者に次々出し抜かれるタイミングの絶妙! 見事と言うしかない。
 屋台での「だるまさんが転んだ」的ギャグの食い逃げ騒動は非実際的かどうかより些かくどいのが難。

後半のハイライトは泥棒を使っての二人羽織で、先の「花咲か爺さん」的アイデア同様、allcinemaでI氏が指摘しているように日本的なアイデアと言って良いのでないか。

食い逃げに拾得物のネコババと道徳的に問題のある部分もあるが、殺人等が絡むわけではなし、失業者の醸し出す悲哀を些かオーヴァーにカリカチュアライズしたものとして素直に笑い、情にホロリとするほうが自然である。

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この記事へのコメント

ねこのひげ
2010年05月25日 05:12
秘書が、高野さんという日本人だったそうで、なにか映画に使えるアイデアはないか?とよく相談していたそうですので、「花咲か爺さん」の話を聞いたのかもしれませんね。
『チャップリンの冒険』に出てくる運転手が高野さんです。
オカピー
2010年05月26日 00:59
ねこのひげさん、こんばんは。

>高野さん
どうもその可能性大ですね。
チャップリンは日本をご贔屓にしていたようですし。

>『チャップリンの冒険』
おおっ、お詳しいですね。
この作品を僕が持っているかどうか今は解らないですが、あったら見てみます。

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