映画評「花の生涯~梅蘭芳~」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2008年中国映画 監督チェン・カイコー
ネタバレあり

「さらば、わが愛 覇王別姫」でも京劇を扱ったチェン・カイコーが京劇の名女形・梅蘭芳<メイ・ランファン>の人生を綴った伝記映画。京劇に疎い僕でも梅蘭芳の名前くらいは知っている。

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清朝末期に既に名をなした京劇名門出身の蘭芳は(青年時代ユィ・シャオチュン、壮年時代レオン・ライ)は、成立したばかりの中華民国の司法局長だったチウ・ルーバイ(スン・ホンレイ)のリアリズム導入論に耳を傾けて新しい京劇を開拓した結果師匠たる保守的な老優に勝ち、彼の魅力に惚れ込んだチウに役所の椅子を捨てさせ、以後義兄弟の契りを結びチウの計画通りに芸人人生を歩む。

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ニューヨークでの公演も成功を収めるが、その直前のパーティーでの拳銃男乱入事件が、愛人の女優モン・トゥアトン(チャン・ツィイー)との別離を促進する為のチウの計略と判明した時その蜜月は終わり、1937年に日中戦争が勃発した為に辞めた京劇を日本軍から強要された時の対応を巡ってその不和は決定的になる。結局蘭芳はチフスの注射を打って貰って病気になることで日本の為に歌うのを拒否し、戦後大歓声に迎えられて復活、61年に死去する。

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アマデウス」など芸術家や芸人を扱う作品は本人を前面に出して語るよりライバルやパートナーなど対となる人物を配した方が面白くなる傾向があるが、事実上のマネジャーになったチウを配した本作も例に洩れない。

辣腕ぶりを発揮するそのチウにしても最終盤に漸く「普通の人生を望みながら京劇に総てを捧げた」蘭芳の悲しみを知るわけで、チウから見た名女形の人生行路という形に仕立てたことがより強い興趣を生み出しているのである。

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前半の京劇の鮮やかな再現、後半の力のこもった時代色醸成という具合に前後半とで違った魅力があるのも良い。

問題としては、妻(チェン・ホン)の性格が一貫せず解りにくい印象があるのが一点。
 また、後半少年時代に蘭芳を観て以来京劇ファンになった若き日本軍人(安藤政信)が出て来ることを考えると、ニューヨーク公演の代りに日本公演を描いた方が、史実との関連はともかくドラマ的にスムーズに展開したと思われる。

チェン監督、京劇で凱歌をあげる(この洒落、解るかなあ?)。

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この記事へのコメント

2010年04月01日 22:55
コメントありがとう。
はい、洒落に座布団一枚。
日本公演なんかの時には、内容の日本語弁士なんかの解説があったのかしら。それとも言葉はわからなくても、そういうものとして酔ったのかしら。
オカピー
2010年04月02日 15:32
kimion20002000さん、こんにちは。

>日本公演
映画の弁士さんがまだ活躍していた頃でしょうから、弁士が雇われた可能性大ですね。
そういうのは、淀川さんや双葉さんが詳しそうですが、もう聞けませんや。TT

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