映画評「レッドクリフ PARTII-未来への最終決戦-」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2008年中国=アメリカ=日本=台湾=韓国映画 監督ジョン・ウー
ネタバレあり

羅貫中の歴史小説「三国志演義」をベースに魏と呉・蜀連合軍の戦いを描いた二部作の後編。

画像

前回は何にも知らずに観た為にタイトルになっている肝心の赤壁の戦いが描かれていないのに大いにズッコケたわけだが、その最後に呉の都督・周瑜(トニー・レオン)と蜀の軍師・諸葛亮孔明(金城武)が抜群のコンビネーションを発揮して魏の軍勢を退けた後を受けていよいよ本編が始まり、呉の君主・孫権の妹・尚香(ヴィッキー・チャオ)が男装して赤壁の対岸に構える魏の陣地に潜入、偵察を始める。

本作は原作には出て来ないらしい二人の女性即ち尚香と周瑜の妻・小喬(リン・チーリン)を大々的に活躍させるという方針のようで、歴史物としては実録的なムードから離れて甘さが強調されてしまうが、数々の戦略でそれなりに興味をそそる。

画像

蜀の軍勢が諸葛亮を残して去ってしまった為に矢の絶対数が足りず、十万本の矢を諸葛亮が策士ぶりを発揮して敵軍から略取する一幕が前半のハイライト。
 尚香がもたらした敵の情報に基づき、少ない戦力で敵の巨大な水軍を倒す火攻めを行なうことにするが、それを計画通りに進める為には風向きが変る必要がある。時間稼ぎをする為に小喬が自身の判断で彼女をものにしようと狙っている魏の丞相・曹操(チャン・フォンイー)のもとに赴き、お茶で惹き付ける。真面目に考えると出たとこ勝負の、馬鹿らしくなるような策略だが、全体の流れの中では意外と抵抗なく観られる。

画像

勿論後半のハイライトは大金を掛けて作ったらしい火攻めの場面で、似たような感じの「エリザベス ゴールデンエイジ」のアルマダ海戦よりはずっと要領を得た描写になっているが、やはり夜という設定なので解りにくい部分がある。

本格歴史劇にふさわしくない華美なCG(VFX)は存外目立たず、興醒めるワイヤーアクションとスローモーションの組合せも気のせいか減っているようで、アクションに関しては前作より満足度が高い。その一方で、前作のような中国史劇らしい面白い隠喩や暗示が殆どなく、さっぱりした作劇になっているのは良し悪し。

画像

周瑜が吐く最後の台詞は「七人の侍」の「勝ったのは百姓だ」を意識したものだろう。ついでにチャン・フォンイーは志村<勘兵衛>喬に似ている。

アクションはいつも夜・・・杉真理の初期ビートルズ風ナンバー「バカンスはいつも雨」のもじりです。あっ、知りませんか。

この記事へのコメント

2010年01月13日 23:12
 こんばんは!
これは本編そのものより、大騒ぎしていた宣伝の方が印象が強い作品でした。騒ぎすぎていたのも、三国志ファンとしてはしっくりこない部分でした。

なんだか舞台でやっている劇のような展開になる、主役級の人々勢ぞろいのラスト・シーンはげんなりしました。突っ込みどころ満載で、おそらくシュエットさんと二人で見ていたら、「ちゃうがな!」「なんでやねん!」とポンポン突っ込めたことでしょう。

観に行ったので、終わったときに脱力感が尋常ではなかったのを覚えています。
よく出来ている部分もあったので、もったいないですよ。
ではまた!
オカピー
2010年01月14日 00:54
用心棒さん、こんばんは。

>三国志ファンとしては
そうでしょうねえ。
僕も「トロイ」のアガメムノンの扱いにはズッコケましたし、「ルパン」なんかもアルセーヌ・ルパンのファンとしては大いに気に入らなくて。
本作に関しては全く素人なのでそういう感想はないですが、まあ、妻女が一人で出かける部分は素人でもちょいと気になりましたかね。

第一部の方がドラマとしては正攻法だったと思います。

この記事へのトラックバック

  • レッドクリフ PartⅡ ―未来への最終決戦―

    Excerpt: 公式サイト。ジョン・ウー監督、トニー・レオン、金城武、ヴィッキー・チャオ、チャン・チェン、中村獅童、チャン・フォンイー、フー・ジュン、リン・チーリン。昨秋の「レッドクリフ PartI」 の続編。冒頭「.. Weblog: 佐藤秀の徒然幻視録 racked: 2010-01-08 15:42
  • 『レッドクリフ Part? 未来への最終決戦』 

    Excerpt: □作品オフィシャルサイト 「レッドクリフ Part? 未来への最終決戦」 □監督・脚本 ジョン・ウー □脚本 カン・チャン、コー・ジェン、シン・ハーユ□キャスト トニー・レオン、金城武、リン・チーリン.. Weblog: 京の昼寝~♪ racked: 2010-01-08 17:21
  • レッドクリフ Part II ―未来への最終決戦―

    Excerpt: もぅメチャメチャ楽しみにしてましたヨ、とっても待ち遠しかったんですがついにこの日がきましたね。前倒しでウィークデイの金曜日からの公開というのもとっても嬉しいです。こういう超話題作では初日が空いてるとい.. Weblog: カノンな日々 racked: 2010-01-08 18:06
  • レッドクリフ Part II ―未来への最終決戦―

    Excerpt: 製作年度 2009年 原題 RED CLIFF: PART II/赤壁 上映時間 144分 製作国・地域 アメリカ/中国/日本/台湾/韓国 監督 ジョン・ウー 音楽 岩代太郎 出演 トニー・レオン/.. Weblog: to Heart racked: 2010-01-08 18:47
  • 『レッドクリフ Part II 』 ('09初鑑賞43・劇場)

    Excerpt: ☆☆☆☆☆ (5段階評価で 5) 4月11日(土) 109シネマズHAT神戸 シアター8にて 14:30の回を鑑賞。 Weblog: みはいる・BのB racked: 2010-01-08 20:23
  • ★「レッドクリフ Part II ―未来への最終決戦―」

    Excerpt: 今週の平日休みは、14日という事で1本1000円で見られる「TOHOシネマズ」で3本まとめ観っ。 中国もの・イギリスもの・フランスものの3本立てでしたよーーー。 Weblog: ★☆ひらりん的映画ブログ☆★ racked: 2010-01-08 23:16
  • 『レッドクリフ Part II ―未来への最終決戦―』

    Excerpt: Yahoo!映画のレビュアー試写に当たって、東京厚生年金会館に『レッドクリフ Part II ―未来への最終決戦―』を観てきました。 開場10分過ぎくらいに行ったのに、まだ外に行列が出来ていたから結.. Weblog: cinema!cinema! ミーハー映画・DVDレビュー racked: 2010-01-08 23:49
  • レッドクリフ PartII -未来への最終決戦-

    Excerpt: ジョン・ウー監督の「レッドクリフ Part?」に続く、赤壁の戦い2部作の後編。キャストは前作と変わらず、トニー・レオン、金城武、チャン・フォンイー、チャン・チェン、ヴィッキー・チャオ、フー・ジュン、リ.. Weblog: Yuhiの読書日記+α racked: 2010-01-12 09:21
  • 09-131「レッドクリフPartⅡ -未来への最終決戦-」(アメリカ・中国・日本・台湾・韓国)

    Excerpt: 茶の溢れた器  80万の曹操軍をわずか5万で迎え撃つ劉備・孫権連合軍は、軍師・孔明の知略と指揮官・周瑜の活躍でどうにか撃退に成功する。思わぬ大敗にも依然圧倒的な勢力を誇る曹操は、2000隻の戦艦を率.. Weblog: CINECHANの映画感想 racked: 2010-01-13 02:02
  • 『レッド・クリフ PART Ⅱ』(2009)さあ、いよいよクライマックスへ!!!でも…。

    Excerpt:  とうとう完結編を迎えたジョン・ウー監督による赤壁の戦いを描いた『レッド・クリフ』。前作品の呼称がなぜか途中で、『レッド・クリフ』から『レッド・クリフ PART Ⅰ』に変わり、「ああ、たしかにこれを2.. Weblog: 良い映画を褒める会。 racked: 2010-01-13 23:15
  • 『レッドクリフPartII―未来への最終決戦―』を観たぞ~!

    Excerpt: 『レッドクリフPartII―未来への最終決戦―』を観ました三国志の有名なエピソードを基に、日本をはじめアジア各国で大ヒットを記録したジョン・ウー監督によるスペクタクル巨編「レッドクリフ」の後編です>>.. Weblog: おきらく楽天 映画生活 racked: 2010-01-23 22:49
  • ジョン・ウーとは何だったのか

    Excerpt: この作品が好きな人、ジョン・ウー監督のファンである人は気分を害されるかもしれません 言いたい放題の辛口です レッドクリフ / 赤壁 2008年 中国/日本/アメリカ/台湾/韓国合作映.. Weblog: RISING STEEL racked: 2011-08-16 11:14