一年遅れのベスト10~2009年私的ベスト10発表~

群馬の山奥に住み、体調も万全とは行かず(入院までしてしまいました)、WOWOWを中心にした映画鑑賞生活ですので、私の2009年私的ベスト10は皆様の2008年にほぼ相当する計算でございます。初鑑賞なら何でも入れてしまうので、時々古い作品も入ったりします。

因みに2009年の鑑賞本数は3週間強の入院生活により例年よりやや少ない407本、再鑑賞作品は43本。つまり、364本が初鑑賞。初鑑賞の作品数はここ数年では一番多くなりました。


1位・・・ダークナイト
主人公が苦悩するメソメソ型ヒーロー映画は気勢が上がらない為に余り評価してこなかった僕ですが、ヒーローの代りに悪役ジョーカーが強力でサスペンスの馬力が物凄く、脱帽致しました。ジョーカーを演じたヒース・レジャーの熱演も貢献大。悪の汚名を着せられても正義を貫こうとするバットマンには現在のアメリカが色濃く投影されていますね。
 アメコミの映画化では「ヘルボーイ ゴールデンアーミー」も上出来でした。

2位・・・つぐない
第1部で同じ場面を主観と客観(厳密には第三者の主観)とで二度繰り返す演出をフィーチャーして、それを三部構成による全体の物語にも押し広げて行く、というアイデアが断然優秀で、最後に客観描写でさえもヒロインの想像(主観)であったという落ちがあって楽しませて貰いました。従って、第2部にあたる中間部も実際には映画の中の作者即ちヒロインが客観に見せかけた主観という立場ですが、ここを単純に客観描写と理解しても大衆的に楽しめるように作られていました。物語作りをテーマにしたとも言える純文学映画。

3位・・・按摩と女
実は今年一番吃驚したのがリメイク「山のあなた 徳市の恋」で注目されることになった本作。70年以上も前の作品なので3位に留めましたが、トラックバックを使った開巻直後の長回しから夢中になって鑑賞、清水宏は埋もれた大監督と強く認識させられた次第。映画の魅力はこれだなあという呼吸とリズム・・・こういう作品は昨今殆ど観られなくなりました。リメイクもお話は楽しめますが、映画としては歴然の差あり。

4位・・・潜水服は蝶の夢を見る
全身麻痺という難病を扱いながらもコミカルな部分を見せたところが好印象をもたらした作品ですが、個人的には序盤主観映像ばかりだったのが、彼が自身を客観的に見る覚悟が出来た直後から客観映像が増えて来るという演出に感心したのでした。これで順位もジャンプアップしたと思います。多種多様の音楽も楽しめましたね。

5位・・・シークレット・サンシャイン
前作「オアシス」より落ちるというのが評価の大勢を占めるイ・チャンドンの力作。空と地面の暗示的な使い方が圧倒的で、総合的にはこちらのほうがずっと秀逸ではないかという感想を持ちました。評価が伸びなかったのは見かけ以上に形而上的な作品だからでしょう。イーストウッドは晦渋でも高く評価されるのに。

6位・・・ウォーリー
序盤の孤独感が筆舌に尽くしがたい詩情によって表現されて見事でした。後半はややありがちなお話になってリリカルさもなくなるものの、前後の脈絡はきちんと付いていますし、何より主人公のウォーリーとイヴの純愛が胸を打ちます。今の世ではロボットを主人公にでもしないとこんな純愛はなかなか描けないのだろうなあと感慨にふけりました。

7位・・・おくりびと
納棺師への感謝の念と嫌悪という対比を鮮やかに使った脚本が上出来でしたね。「カサブランカ」の如く、映画のイメージを損なわない程よい甘さが幅広い観客層に受け入れられた要因でしょう。家族への思いやりが死者を弔う儀式の美しさに昇華している感さえ与え、強い印象を残しました。

8位・・・やわらかい手
人生いろいろ。老齢のフーゾク嬢を通して人間関係の機微を描き出した英国映画の秀作です。ヒロインを演じたマリアンヌ・フェイスフルの演技に人生の年輪を感じ、女優賞選出。

9位・・・あの日の指輪を待つ君へ
話術映画ではないものの、複数の時系列をマッチカットで上手く繋いだリチャード・アッテンボローの話術を高く買いました。老人たちが自己を解放する幕切れに思わずホッとさせられるわけですが、世間の評価がそれほどでないのはヒロインの立場への理解不足が原因のような気がします。僕は彼女も男性陣同様“約束”の重さに縛られた犠牲者と考え、素直に感激したものです。

10位・・・ハッピーフライト
職業紹介映画としての抜群の面白さに加え、パニック映画としてのサスペンスも強く、すぐに失速してしまいがちな邦画としては久々にうまく離陸・着陸した秀作コメディー。矢口史靖は場面の繋ぎの呼吸が良い為にご贔屓にしている監督で、本作も快調でした。


次点・・・ゼア・ウィル・ビー・ブラッド

画像

ワースト・・・感染列島(芸術分野におけるワースト選出は真に「一番悪い」の意味ではないことにご注意。)


****適当に選んだ各部門賞****
監督賞・・・クリストファー・ノーラン~「ダークナイト」
男優賞・・・ヒース・レジャー~「ダークナイト」
女優賞・・・マリアンヌ・フェイスフル~「やわらかい手」
脚本賞・・・クリストファー・ハンプトン~「つぐない」
撮影賞・・・シーマス・マッカヴェイ~「つぐない」
音楽賞・・・ポール・カンテロン~「潜水服は蝶の夢を見る」

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この記事へのコメント

2010年01月25日 17:30
オカピーさん、こんにちは^^
いつもTB、ありがとうございますm(__)m
仰るとおり、劇場公開し、CD・DVD・BD発売を経て、CS等で
鑑賞できるのは時間がかかり、1年前のベストになってしまうかも
しれませんね^^
ちなみに僕の2008年のベストと結構かぶっていましたので、
2009年とともにTBさせていただきました。
時間が経過しても、やはりいい映画は印象に残るものですね!
オカピー
2010年01月26日 00:56
cyazさん、こんばんは。

TB&コメント有難うございました。

そうですね、DVD等では半年平均、WOWOWですと1年平均の遅れとなりますので、1年遅れのベスト10という冠を付けました。

>2008年
で丁度良いでしょうね。
シュエット
2010年01月26日 14:09
文句はおません!
「ダークナイト」は劇場でてからもドンだけ興奮したことか!
「ウォーリー」が入っているのも嬉しい!これも劇場出た後数人の友人に観て観てってメール送った。
「つぐない」は久々に正統的英国映画を堪能。観終わった後の鈍い重さの充実感は堪らんですねぇ。
マリアンヌ・フェイスフル。彼女の暖かい包容力を感じさせる声がいい!
あのフェイスフルがここまでいい味出す人間になったのかって。中年になっていい味の男優は多いけど、女の渋さを感じさせる女優も少ない。それが本作のフェイスフル!
きりないんでこの辺で!
今年はグラン・トリノがあるよ。
2010年01月27日 02:10
こんにちは。
僕もDVD中心だから、wowow観賞とそんなに違わないかな。
3位と9位観てないな。楽しみにしよう!
あといま、オカピーさんの影響も受けて、あらためて、松本清張全作品と山田洋次監督全作品を見直してますよ。
ちょっと社会派視線になったりして・・・(笑)
オカピー
2010年01月27日 09:18
シュエットさん、おはようございます。

>文句はおません!
結果的には、シュエットさん好みの作品が多かったかもしれません。^^)v
「按摩と女」「あの日の指輪を待つ君へ」もお気に入りでしたよね。

>フェイスフル
自滅的人生が演技の糧になったんですね。
演技の為に自滅的人生を歩むわけにはいかないですけど。^^

>グラン・トリノ
「チェンジリング」も面白かったですし、「グラン・トリノ」はもっと評判ですね。
楽しみにしています。^^
ドラゴン
2010年01月27日 14:16
『按摩と女』、観たいです。

『ダークナイト』を一位にもってくるのがいいですね!
オカピー
2010年01月27日 15:44
kimion20002000さん、こんばんは。

>9位
「あの日の指輪を待つ君へ」・・・kimionさんが厳しい評価を下した「きみに読む物語」と同様、老人の現在と青春時代を往来するお話故に、少し嫌な予感が。(笑)

>3位
「按摩と女」・・・同じ脚本を使っても同じレベルにならない映画の面白さ。オリジナルの映画文法は絶品ですよ。

>松本清張全作品
年末年始のWOWOWが余り充実していなかったもので、再鑑賞したわけですが、通して観てこそ見えてくる面白さがありますね。

>山田洋次全作品
そりゃ贅沢だなあ。^^
「家族」「故郷」「息子」・・・見直したいのがたくさんありますけど、なかなか。
オカピー
2010年01月27日 23:40
ドラゴンさん、こちらにもようこそ。

>『按摩と女』
双葉先生は障害者を扱った映画がお好きになれなかったようで、「日本映画 ぼくの300本」には入っていませんが、映画としては相当秀逸です。
漫談のようであり詩のようであり、面白いです。

>『ダークナイト』
結局パワーにやられてしまった形。
同じメソメソ型でも「スパイダーマン3」なんてのは悪役までもメソメソしているので「つまらん」と思いましたが、こちらのジョーカーは素晴らしく、理屈を考える余裕を与えてくれない怒涛のサスペンスを満喫させてくれましたから。
「ダーティハリー」を観た時の興奮に似ているかな。

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