映画評「ママが泣いた日」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2005年アメリカ映画 監督マイク・バインダー
ネタバレあり

再会の街で」でなかなか良い感覚を示したマイク・バインダーの旧作。

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デトロイト郊外住宅地の主婦ジョーン・アレンが夫に失踪され、辞職した会社のスウェーデン美女と駆落ちしたと思い込んで妙に怒りっぽくなる。
 大学卒業と共に“出来ちゃった結婚”をする長女アリシア・ウィット、踊りの専門学校へ行こうして反対されて重病に陥ってしまう次女(若しくは三女)ケリー・ラッセル、大学へ進学する代わりにラジオ局に職を見つける三女エリカ・クリステンセン、好きになった少年にゲイと告白されてびっくりする末娘の高校生エヴァン・レイチェル・ウッドは、八つ当たりされて大弱り。

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近所に住む酔いどれの元大リーガー、ケヴィン・コストナーがそんな母娘を優しく見守るが、彼女が悪い気はしていないはずなのに素直にならずに酒に頼ったりするうちにゴタゴタしてしまう。
 かくして3年の月日が流れて金策の為に土地売買の仲介役のようなこともしているコストナーに依頼して土地を整理している時に枯葉に埋もれた古井戸に遭遇、夫の死体が発見される。

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という物語が葬儀における末娘の回想により展開するので、一見沈んだトーンのホームドラマのように見えるが、最後の落ちから解るように実はブラックでシニカルな笑いと視線が底にある。シリアスなように見えて実はアイロニーに満ちたコメディーであった「再会の街で」同様バインダーの作風・傾向と思って間違いない。
 従って、そこをきちんと把えないと、ただ母親がわめき散らして観客を不愉快にした挙句に突然感傷的な幕切れを迎える変てこなドラマと理解することになり、正しい評価から遠のいてしまう。

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ただ、お話の詰めは些か甘いようで、ジョーンが最初に駆落ちと決めつけ、警察その他に調査を依頼する様子がない為に、我々が疑問を覚えつつ観続けることになるのはまずい。スウェーデンに国際電話を掛けて「旦那が出てすぐに切った」と決め込むヒロインはそそっかしすぎ、作者のミスリードぶりも空々しい感じがする。この辺りが自然に扱われ、優しい時代の母親がきちんと描写されていれば、可笑しくてかつ親子の愛憎交換風景にしんみりとすることが出来る佳作になっただろう。

コストナーの大リーグ時代の写真は埋もれた秀作「ラブ・オブ・ザ・ゲーム」から借用されている模様。

昨日はボクが泣いた日でした。

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この記事へのコメント

2010年01月29日 21:47
こんばんは。
終盤までは、いい感じでしたが、あのラストは不自然でした。
私は、スウェーデン秘書が殺して、国外逃亡したのかと思いました。^^
オカピー
2010年01月30日 09:52
hashさん、こちらにもトラコメ有難うございました。

>ラストは不自然
そうですね。
しかし、それは恐らく意図的で、その不自然さゆえにアイロニカルでブラックな味が出るのではないかと思います。

>スウェーデン秘書が殺して
時系列的には成り立ちそうな推理ですね。^^

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