映画評「インクレディブル・ハルク」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2008年アメリカ映画 監督ルイ・レテリエ
ネタバレあり

元々はアメリカン・コミックで、学生時代にTVシリーズを見ていた「超人ハルク」を「トランスポーター」のルイ・レテリエが映画化。

2003年に畑違いのアン・リーが作った「ハルク」の評判が悪かった(僕はそれなりに買った)とは言え、5年後のリメイクはいかにもスパンが短いという否定的な思いが強い。あちらが第一弾でこちらは第二弾という解釈も成り立たないことはないが、そもそもシリーズはリメイクの一種である。どちらにしても余り気乗りしないまま観ることになった。

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米軍の“スーパーソルジャー計画”実験中の事故により心拍数が200を超えると緑色の怪物ハルクに変身する体質になってしまった科学者ブルース・バナー(エドワード・ノートン)は、その力を利用しようと企むロス将軍(ウィリアム・ハート)の遣わす追手をかわしてリオデジャネイロに逃避、飲料製造会社に勤めながら米国の学者と情報交換して治療に専念するが、彼の流した血の紛れ込んだボトルが米国で飲まれたことから居場所が発覚して急襲され、結局ヒッチハイクなどでアメリカに極秘に帰国、恋人だった将軍の娘ベティ(リヴ・タイラー)と再会する。
 一方で、様々に施術された軍人ブロンスキー(ティム・ロス)は学者が保管していたブルースの血液を注入、物凄い怪物になってニューヨーク市街地でハルクと対決する。

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序盤こそまだるっこいが、アン・リー版「ハルク」に比べて気勢の上がりにくい内面的葛藤を少なめにしてアクションを多くしているので、マニアックの方なら前述作より楽しめるだろう。気乗りしないまま観始めた割りに楽しめたことに免じて★を多目にする次第。
 しかし、最後の対決は超人と言うよりは怪獣同士の戦いと化し、それが一旦プロレスに見え出すと鼻白む可能性がある。SFX・VFX大作の例に洩れず、このクライマックスを夜間にしているのも(合成処理を誤魔化す為か?)物足りない。従って、明るい中で繰り広げられる大学キャンパスでの軍隊とハルクの対決の方がヴィジュアル的には見応えあり。

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また、超人・怪物がCGなのは大いに結構だが、ヘリコプターが全面的にCGなのは、“実写映画”ではなるべく実写を観たい僕としては些かがっかり。危ないことを実際にやるから余計にヒヤヒヤする心理的要素が加わるのが実写の良さではないかと思う。

性格俳優ノートンが作劇にも絡んでいる(と言われる)割りに、しんねりむっつりした内容になっていないのはどういうことでしょう? 個人的には大歓迎なんですけどね。

羨まし 出番半分 ギャラ同じ

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この記事へのコメント

2009年12月05日 21:27
>性格俳優ノートンが作劇にも絡んでいる(と言われる)割りに、しんねりむっつりした内容になっていない

おっとオカピーさん!ノートンはクセのある役柄が多いものの、実像はイェール大卒のインテリヤサ男、なぜか日本語も結構ペラペラ、しかも超優しい雰囲気のジェントルマンですよー。
私、この人のファンなんです、昔から。

なのでオカピーさんと同様、気乗りしないリメイクだったものの、ノートンが観たいという理由だけで観てしまいました。わたし的には6点でしたが 笑
最後のCG炸裂のお粗末な対決シーンには、相方がダメ出ししまくりでした。

とはいえ、ノートン、ティム・ロスといった演技派を並べたお蔭で、中盤の心理描写、つまり、正義感から苦悩するノートン vs 野心の権化となって内面も怪物化していくティム・ロスといった対比に関しては、そこそこ効果をあげていた印象です。
オカピー
2009年12月06日 01:11
RAYさん、こんばんは。

>ノートン
あはははは。
いきなりきつい一発くらっちゃった。

というのは冗談ですが、そのインテリ性故に、もっと内省的な作品になるのかなあと思っていたら、必要最小限のレベルに留まっていたので・・・。

>CG炸裂のお粗末な対決シーン
まあ、CGらしさを排除しなかった意図があるのか知りませんが、昨日の「ヘルボーイ」に比べると見劣りしました。
あちらはSFXも相当駆使しているようですが、ご覧になりましたか?

>6点
でも良かったんですが。
退院後の僕は少し採点が甘いようですよ。(笑)

>内面も怪物化していくティム・ロス
なるほど、言い得て妙ですねえ。
そういうのは一言記事に入れておくと、全体的にバランスが取れるんですけどね、本稿を書いている時は全く思いつきませんでした。
シュエット
2009年12月07日 16:21
私は前作のアン・リー監督でエリック・バナの「ハルク」が、世間評価は今ひとつみたいだけど、私はハルクの内面葛藤が好きなんですよ。最後なんてウルウルですよ。さらに突っ込んで続編をアン・リーに追及してもらいたいもんだと思っているくらい。
だもんでエドワード・ノートンのハルクは、たぶん「しんねりむっつり」で最近はいささか過剰にくど過ぎて、私のセンスに合わないだろうなって思ったので観てない。
>性格俳優ノートンが作劇にも絡んでいる(と言われる)割りに、しんねりむっつりした内容になっていないのはどういうことでしょう? 個人的には大歓迎なんですけどね。
だから7点になったのかもね。
ノートンがノートン流にがんばってたら辟易して減点だったかも?
でも私はやっぱり内面葛藤のアン・リー一筋にしておくわ。
ただアン・リーのハルク観るたびに「シュレック」と重なってしまうのは困るんだわぁ。
オカピー
2009年12月08日 01:08
シュエットさん、こんばんは。

>アン・リー監督「ハルク」
あれは「謂われ」もないバッシングですね。
実際にはそれほどひどい作品ではないでしょう。
特に原作者が気に入っていないなどと喧伝されたものなら、鬼の首でも取ったような騒ぎになりますが、原作者が映画の良し悪しを判断できるとは限らないわけですし、それ自体が捏造である場合もあります、「模倣犯」のように。

>ノートンがノートン流にがんばってたら辟易して減点だったかも?
確実に。(笑)
ヒーローものの葛藤は積極的には買わないし、葛藤をさせるなら上手い匙加減にしないと。同じ葛藤なら全く肌に合わなかった「スパイダーマン」よりアン・リー版「ハルク」の方を買いたいくらい。

>「シュレック」
同じ緑ですからね。そりゃ困りますわなあ。
2012年05月12日 23:15
私も意外と楽しめたほうです。
でも、ハルクも出るオールスターキャストの「アベンジャーズ」には、ノートン君、出演しないのですよね…。
オカピー
2012年05月13日 11:36
ボーさん、こんにちは。

ジャンルを問わず観る僕としては、この手の作品がそもそも余りに作られ過ぎてつまらなくなっているというのが現状ですが、いずれにしても余り期待しないで観た方がお得(笑)。
少なくとも神様が出て来ないだけ良いです(笑)。

>「アベンジャーズ」
本作にはノートン君に出たい理由があったらしいので、テーマの違う「アベンジャーズ」には敢えて出る必要性を感じなかったのでしょう。よく解りませんが(笑)。

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