映画評「夕暮れのとき」

☆☆☆(6点/10点満点中)
1957年アメリカ映画 監督ジャック・ターナー
ネタバレあり

戦前のフランス時代にはジャック・トゥールヌールと呼ばれていたジャック・ターナーは戦後つまらない西部劇や海賊映画を多く発表して大した印象を残していないが、サスペンス系列では時々良い味を出すようだ。本作は日本未公開のフィルム・ノワールで、ターナーの作品の中では面白い部類。

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バーで一人酒を飲むアルド・レイがモデルをしている美人アン・バンクロフトに金を貸して知り合うが、店を出たところで彼を追いかける二人組ブライアン・キースとルディ・ボンドに捕まってしまう。
 そこから回想になって、この二人組が銀行強盗の後逃亡してきた山中で事故を起こし、助けてくれた医師とレイを撃って逃げ去るが、実は気を失っただけのレイは連中が慌てる余り取り違えた大金入りの鞄を持って山を放浪する。二人組は大金の在り処を知ろうと現れたのである。レイは医師の殺害容疑で警察に追われ、銀行と契約している保険屋ジェームズ・グレゴリーの目も光っている。
 再び現在に戻り、辛うじて二人組をうっちゃった彼はアンの信頼を得て一緒に山を目指し、これに保険屋が加わり、先に小屋に来ていた二人組と対峙する。

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原作はデーヴィッド・グッディスで、山小屋での緊迫するシチュエーションはフランソワ・トリュフォーが3年後に彼の小説を映像化した「ピアニストを撃て!」に似ている。

二人組が大金の入った鞄を医師の鞄と間違えて去り、その鞄を持ち去った主人公が今度は途中でどこかに落としてしまったり、登場人物が間抜け揃いというか、大金の扱いが余りに作りものめいているストーリーは弱い。二人組が主人公自身も知らない大金の在り処にちゃんと辿りついているなんて全く変である。

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思わせぶりなだけで大して意味のないショットも目立つが、彼がファッションショーの現場から連れ去ったアンと山を目指す場面以降は人物の出し入れが面白く、終盤のクライマックスはなかなかサスペンスフルに仕立てられている。欲を言えば、アンと保険屋が捕縛されて身動きの取れない小屋に無人の雪掻き機が迫ってくる場面はカット割りの工夫でもっとヒヤヒヤさせることもできただろう。

黒光りするモノクロ映像(撮影バーネット・ガフィー)は優秀。

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この記事へのコメント

2009年10月30日 07:47
おはようございます。
WOWOWのフィルム・ノワール特集、チェックしてらっしゃいますね。
これは私も、まあまあという感じでした。
確かに、話としては、なんで?と思える部分は、いくつかありましたけど、こういうジャンルの映画だと、なんだか許容して見てしまいます。
オカピー
2009年10月30日 23:32
ボーさん、TB&コメント有難うございました。

>WOWOWのフィルム・ノワール特集
とりあえず、観ていないのは優先的に観ようということで(「ギルダ」を除く)。
監督が碌でもない作品ばかり観させられてきたジャック・ターナーなので余り気乗りしませんでしたが、本作は彼の作品の中では面白い部類でした。

>話
僕は映画の評価の際にはお話6割くらいで観ていますので、特に人間の行動がおかしいのには厳しくなっちゃいますね。
ヒッチコックは常々「本当らしさ」と仰っているんですが、御大の言う「本当らしさ」というのはどうも人間の行動なんですね。世間でいうリアリティーとは少し違いますし、どんなジャンルでも人間の行動の「本当らしさ」は大事だなと思っているわけです。

その反面、撮影はなかなか良かったです。フィルムの保存状態も素晴らしくて、こちらは堪能しました。

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