映画評「光の六つのしるし」

☆☆★(5点/10点満点中)
2007年アメリカ映画 監督デーヴィッド・L・カニンガム
ネタバレあり

スーザン・クーパーの「闇との戦い」シリーズを映像化したファンタジー。ロシア製の「ナイト・ウォッチ」「デイ・ウォッチ」の二番煎じのお話なので大分損をしているが、こちらのほうが解り易く作られ大分一般的である。

アメリカからイギリスに引っ越してきた少年アレクサンダー・ルドウィグが14歳の誕生日にプレゼントを貰ったのを発端に世界が変わる。「」よろしく大量のカラスに襲われ、黒い馬に乗った騎手クリストファー・エクルストンに「印を渡せ」と意味不明な言葉を掛けられる。
 当惑する彼にイアン・マクシェーンを筆頭とする4人の老人たちが1000年前に始まる“光”と“闇”の対立関係を説明、少年が復活してきた“闇”から世界を守る為に6つに分散された“印”を集めて“光”の力を復元する役目を負う“探す者”であることが判明する。

というところからいよいよ眼目部分に入っていくわけだが、その前に一般論として最近のファンタジーは何故“光と闇の闘い”といった抽象的なところから始まるのか首を傾げたくなる。コンピューター・ゲームのようなお話に若者が慣れているからという推理ができる一方で、親切極まりないTVの2時間ドラマすら碌に理解できない大学生が増えているという報告もある現在だけに僕には謎である。実際、抽象的な部分から始まるので退屈し、その為に集中できずに益々理解がままならないという悪循環に陥っていくケースが少なくない。

本作は、お話が理解できないなんてことはないものの、やはり退屈。

というのも、“印”を探す段からようやくお話が具体的になりファンタジーらしい展開への期待が湧くのも束の間、描写を端折り過ぎた結果、“印”が偶然発見出来てしまうような印象になり、この手のお話を観客が楽しむ為に必要な“求めて発見する”というプロセスが全く構成出来ていないからである。これではいかにもつまらんです。

ゲームみたいな映画が増加中。オールド・ファンにとってはこれが闇。

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この記事へのコメント

シュエット
2009年06月10日 15:20
はい!ありがとうございます。
内容的にいかがなものかと、でもロシア・ファンタジーってところで、観ようかどうしようか、迷っていたところでした。
やはり最初の直感どおり、さして面白くもなさそうなので安心してスルーできます。なにせ毎月1本ずつムルナウ作品もやってるわ、ヒッチコックは2×10で毎月2本10ヶ月放映だし、ポランスキーの初期作品もやっていてこれは何度でも見たいし、で、WOWOWでしょ、BSでしょ、基本的にDVDに保存しないで一期一会で観たら記事するか心に留めおいたら削除するを掟にしてるもんで、ここんとこセレクトがたいへんなんです。来月はブニュエルも特集あるんですって。P様にくらべると私なんかまだまだ観ていない素晴らしい作品いっぱいあるし、映画観る目なんかなかった時に観てるものもいっぱいあるしで、映画をしみじみ味わえる年齢でしみじみ味わいたいと思うし、P様のマイペースには感心させられます!
オカピー
2009年06月11日 02:06
シュエットさん、こんばんは。

>ロシア・ファンタジー
は「ナイト・ウォッチ」シリーズです。
本作はアメリカ製で、こちらのほうがお話は明瞭。作品としてはあちらが格上ですが、余りに理解力を試す作品なので、僕は評価しませんでした。

>ムルナウ作品
を観ていたほうが良いでしょう。用心棒さんとも話が合う。(笑)
「吸血鬼ノスフェラトゥ」「最後の人」は凄い映画でした。いつか映画評をかけるかなあ。モリエール原作の「タルチュフ」も面白かった。

>映画観る目なんかなかった時に観てるものもいっぱいある
確かに。
高校時代やそれ以前に観たものは問題外だし、大学時代でもまだまだ理解できていないだろう作品は相当ありますからね。
理解力と直感力と文章力が一番があったのが30代かな。
ぐっと年を食って年相応にある種の傾向の作品にぐっと来ることが多くなりましたが、集中力が相当落ちたので最近の映画は観ていて辛いことがありますよ。

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