映画評「デッド・サイレンス」

☆☆★(5点/10点満点中)
2007年アメリカ映画 監督ジェームズ・ワン
ネタバレあり

リー・ワネル(脚本)もジェームズ・ワン(監督)も「ソウ」シリーズ以外を観るのはこれが初めてである。

青年ライアン・クワンテンが差出人不明の荷物を受け取って収められた腹話術人形を見出して間もなく、妻ローラ・リーガンが舌を抜かれた状態で殺害され、刑事ドニー・ワールバーグに犯人と疑われるが、妻の死の原因が生れた町に伝わる人形の呪いと「メアリー・ショウにご用心」という詩にあると思って帰省し三番目の妻アンバー・ヴァレッタと再婚した父親ボブ・ガントンと再会したり、妻の葬儀を行う老葬儀屋と打合せするなどするうちに、70年前の少年行方不明事件とその後に続く腹話術師メアリー・ショウ殺人事件のあらましを知り、さらに詳細を突き止める為に湖畔にある劇場に向かう。

洋の東西を問わず、人形は恐怖をもたらす存在として素材になることが少なからずあり、西洋では「チャイルド・プレイ」シリーズがよく知られているが、腹話術人形では「マジック」という映画が特に印象深い。本作の場合は実は人形ではなくて、女腹話術師(の霊魂)の復讐心が恐怖をもたらす、オカルト・ホラーと紹介すればほぼ事足りるだろう。

クラシックな劇場が出てくる辺り実にオーソドックスな仕立てなのがオールド・ファン(老人の意味にあらず、ベテランの意味なり)には嬉しいが、どんでん返しと言うべき幕切れでこのコンビらしいグロさが多少顔を出す。
 どんでん返しはその存在が予想された時点から崩落が始まる。ホラーは元来それが付きもののジャンルであるし、本作の場合は布石をかなり親切に見せてくれるので、どんでん返し自体は予想できる範疇かもしれない。映画は全体及び過程をもって評価すべきものだから、どんでん返しだけで凡作が傑作になったり、秀作が駄作になるわけではないので必要以上に重視すべからず。

それはともかく、幕切れに絡むディテイルに大きな矛盾はないものの、何故腹話術師は自らを殺した一家の末裔である主人公を妻より先に殺さなかったのか、という大きな疑問が湧く。作劇上彼を殺さない方が狂言回しとして都合が良いのは解るが、ここをクリアできていないのでお話の為のお話という印象を否めない。

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この記事へのコメント

2009年02月28日 00:27
こんばんは。
>お話の為のお話
そうですね。
ラスト以外は、目新しさはないですから、そろそろネタ切れの「ソウ」シリーズに代わる新シリーズとはならなかったようです。
オカピー
2009年02月28日 02:51
hashさん、こんばんは。

クラシックな作りは割合好感が持てるわけですが、ホラー映画では過激さやグロさばかりが売りになる時代、この程度のひねりではシリーズ化は無理ですね。
hashさんが記事でご指摘のように、妻を生かしておいたら続編くらいは作れたかもしれませんが。

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