映画評「アナトミー」

☆☆★(5点/10点満点中)
2000年ドイツ映画 監督ステファン・ルツォヴィツキー
ネタバレあり

ドイツ製のホラー映画。

全国2位の成績でハイデルベルク大で行われる解剖研究セミナーに合格した女子医大生フランカ・ポテンテが、脳腫瘍のある知人男性が解剖台に乗っているのに驚愕、その死因に疑惑を抱いて学内を調査するうちに血液を凝固させる違法薬物プロミダルを発見すると共にAAAなる秘密結社の存在を知る。
 その間に友人の美人アンナ・ロースが失踪する事件が起き、秘密結社に属しアンナ失踪事件に絡む医学生二人が口封じの為にフランカを殺そうとする。

というお話で、allcinemaの解説によると新感覚サスペンス・ホラーであるそうだが、僕の見るところ恐怖劇としてはどちらかと言えばオーソドックス。そう見えるのは、良くも悪しくもこの後に作られた遥かに先鋭的で過激な「CUBE」や「ソウ」シリーズの洗礼を受けてしまっているせいなのかもしれないが。

医学ものらしくナイフを皮膚に当てられたような冷たい感触の残るシャープな映像が醸成する序盤からの恐怖ムードはなかなか優秀。実質的にはマッド・サイエンティストもののヴァリエーションで、エドガー・アラン・ポーの映像化作品を何となく思い出させたりもする。従って、厳密に言えば恐怖というより怪奇色が強い。

そこに秘密結社などミステリー要素を持ち込んだところは良いが、展開は甚だ心もとない。
 ヒロインたるフランカが驚いたり恐怖に陥るのが目的なのが分り切っているのに、脚本兼監督のステファン・ルツォヴィツキーはそこに集中せずあちらへふらふらこちらへふらふらし、映像に立脚している怪奇及び恐怖ムードを増幅できないどころか減衰させてしまう。例えば、加害者たる医大生がピンチを迎える場面などヒロインへの感情移入という点で全く的外れで寧ろマイナスにしかならない。視点がぶれているのである。

お色気場面も青春映画としての必要性を遥かに超える尺が費やされている。それがアンナ事件への布石になっている部分もあるが、無駄に長くしてはダメである。
 終わってみれば秘密結社の存在などどうでも良くて、二人の異常者が秘密結社の力を利用して犯罪を犯しただけというのも、折角持ち込んだミステリー趣向が半ば空振りに終わった形。

結論としてはムード的に認めたいところはあるものの、保健室が苦手だった僕には余り有り難くない部類でござる。

ルツォヴィツキー君、ハーフ・スウィングで三振。

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