映画評「ライラの冒険 黄金の羅針盤」

☆☆★(5点/10点満点中)
2007年アメリカ映画 監督クリス・ワイツ
ネタバレあり

英国の児童文学者フィリップ・プルマンのファンタジー小説「ライラの冒険」第一部の映画化。

舞台はパラレル・ワールドの地球、そこの人々は魂の代わりにダイモンと呼ばれる動物に寄り添われている。
 荒唐無稽のお話だからパラレル・ワールドという設定にしたのは上手いアイデアだが、そうでなくても少なくない登場人物が二重になるわけだから人間の内面を表すダイモンなる動物の存在は些か煩わしい。

主人公ライラ(ダコタ・ブルー・リチャーズ)は両親を失った後叔父アスニエル卿(ダニエル・クレイグ)に引き取られオックスフォード大ジョーダン学寮に育った12歳の少女で、友人の男児二名が消えたのを不審に思いつつ、コールター夫人(ニコール・キッドマン)なる女性冒険家の誘いに乗り叔父の向った北極へと旅立つ。その前に学寮長から物事の真理を読むことができる黄金の羅針盤を渡され、これがその後色々な場面で活躍することになる。

とにかく序盤から聞きなれない言葉が次々と出て来てうんざりさせられるのは「ロード・オブ・ザ・リング」と同じ印象だが、同作が3時間以上かけてじっくり描いて次第に馴染んでくるところがあったのに対し、こちらは実質105分くらいだからテンポが良いというよりは拙速、碌に考える間もなく進行するうちに寧ろ退屈を誘われる。

後半は、叔父が進めているダスト(塵)の解明の妨害、子供の失踪事件に絡んでいる中近世のキリスト教世界を思わせる【教権】なる存在を通して権力風刺的側面を打ち出す一方で、ライラを運ぶジプシーならぬジプシャン族、彼らに雇われたカウボーイ風気球乗りスコースビー(サム・エリオット)、魔女セラフィナ(エヴァ・グリーン)、ダイモンを欲しがっている鎧クマ族の現王と彼に追い出された前王族イオレクといった連中が賑やかに絡んで冒険場面を繰り広げるのだが、コールター夫人の中途半端な扱いを見てもいかにも紹介編的な物足りなさが残ってしまう。

この一作に関する限り、我々の生活感情に訴える部分が少ないのも不満。

ジプシーは使用自粛用語だからジプシャンにしたのだろうけど、エジプシャンに聞こえてしまうのが難点。

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この記事へのコメント

2009年01月21日 12:25
オカピーさん、昨日は無言TB攻撃申し訳ありません。
深夜オバマ氏を見ようとコメントは失礼させていただいてました。(笑)
でも途中で眠っちゃったんですけど・・・
続編の話がまったく聞こえてこないライラの冒険・・・・
とにかく詰め込みすぎたなあという感が強いですね。
オカピー
2009年01月22日 01:31
しゅべる&こぼるさん、こんばんは。

>オバマ氏
は見ようとは思わなかったですが、早めに寝てしまいました。
最近妙に眠いんですよね。

>詰め込み過ぎ
うーん、3時間くらい掛けてみせればこちらの頭にもしっかり入って却って面白かったのではないかなあ。一般論としては上映時間は短いほうが歓迎されますが、何が何でも短ければ良いというもんではないですわいね。(笑)

>続編
うーん(再び)、一応IMDbによれは"The Subtle Knife"というのが現在preproductionらしいですが、プリプロのままで終わってしまう可能性もあるのかな。
僕しーらないっと。
2009年01月25日 00:23
こんばんは。
最近のファンタジー物は、どれも似たようなストーリーで、食傷気味なので、この短さは個人的にはありがたかったです。
不景気ですから、ヒットの期待できない続編はないでしょうね。
オカピー
2009年01月25日 03:59
hashさん、こんばんは。

この手のファンタジーはそもそも苦手なので、1時間くらい長くしたところで面白く思える保証もないのですが、ただこれだけの要素を詰め込んだお話を100分余りで描くのはいかにも紹介編的に過ぎるだろうと思っている、というのが実際です。
長ければ「ハリー・ポッター」シリーズみたいに途中で飽きてしまうかもしれません。

景気は最悪ですねえ。
そもそも映画に金がかかりすぎなんですよ。本作のコストは、二億ドル以上と聞きました。バブル映画ですね。四分の一くらいにすれば何とかできるかもしれませんが、今さら無理でしょうか。

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