映画評「華麗なる大泥棒」

☆☆☆☆(8点/10点満点中)
1971年フランス映画 監督アンリ・ヴェルヌイユ
ネタバレあり

地下室のメロディー」以降アンリ・ヴェルヌイユはすっかり犯罪映画専門の監督になった観ありだが、その是非はともかく、常に安定した出来栄えを誇る実力者である。

画像

ジャン=ポール・ベルモンドは、ロベール・オッセン、レナート・サルヴァトーレ、恋人ニコール・カルファンと徒党を組んで、ある富豪の家に強盗に入り、3億フラン相当のエメラルドを盗む。

というのが最初の一幕で、まず、透視テレビ付き携帯コンピューターという当時としては極めて最先端だったと思われる新兵器で金庫を開ける模様をじっくり描く。一幕全体が見せ場であるが、その間に刑事オマー・シャリフが彼らが乗ってきた車に目を付け、ベルモンドが辛うじて誤魔化すというサスペンスも挟まれている。

画像

が、実はこの時シャリフ刑事は犯罪行為に気付いて、翌日密航しようと企む4人組をつけ回す。予定した船がドック入りの為、3人と別行動を取ることにしたベルモンドが追尾する車に気付いて必死に逃げ回るが相手もしぶとい。ギリシャ観光地の景観を大いに活用した長丁場のカーチェースが繰り広げられ、町が瞬時にラリー現場に早変わりしたような印象。石段下りもあって、見応え十分である。

ベルモンドはジャッキー・チェンより前にコミカルな犯罪映画で自前のアクションを売りにした俳優だから、本作でもバスからバスへと乗り移ったり、ダンプから岩石ごと落とされるなんてアクションも実際にやっている。

画像

といった具合で全場面が見せ場と言いたいくらい充実した犯罪アクションだが、一場面=一シークェンスを成す観があるほどじっくり見せているので軽妙な内容にぴったりフィットするほどスピード感満開に進むわけではない。ただ無駄は殆どなく、刑事に内通していたダイアン・キャノンをベルモンドが平手打ちをくらわせるとそれに呼応してライトが点いたり消えたりするお遊びショットまであり、時にユーモアを挟んで誠に楽しめる一編と言うべし。

ちょっとルパンを思い浮かべたが、アルセーヌよりルパン三世の方に近い感じがする。そう言えば、ルパン三世とベルモンドはどちらも故山田康雄氏が吹き替えでしたな。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック

  • 映画評「リオの男」

    Excerpt: ☆☆☆★(7点/10点満点中) 1964年フランス=イタリア合作映画 監督フィリップ・ド・ブロカ ネタバレあり Weblog: プロフェッサー・オカピーの部屋[別館] racked: 2016-11-22 09:07