映画評「天使の卵」

☆☆★(5点/10点満点中)
2006年日本映画 監督・富樫森
ネタバレあり

村山由佳のベストセラー小説を富樫森が映像化したロマンス。

美大を目指す19歳の予備校生・歩太(あゆた=市原隼人)は同級生だった夏姫(沢尻エリカ)と付き合っているが、電車で見かけた年上の女性に惹かれ懸命にその姿を絵に描く。10年間入院している精神病の父親を見舞った時にその女性・春妃(小西真奈美)を発見、偶然にも父親の新しい担当医と判明したことから、夏姫に構わずに既婚者で現在は独身の彼女に入れ込むが、所詮は叶わぬ片恋である。
 彼にとって閉塞的なその状況が思わぬことからひっくり返る。仮退院させた彼の父親の飛び降り自殺に自信を失って引きこもる春妃を慰めるうちに二人は結ばれるのである。

と、ここまでは4年後教師になっていた夏姫の回想形式で進行する語りがなかなか丁寧で悪くない出来。惹かれた女性が父親の担当医と判明したり、三角関係になるのが姉妹だったり、些か出来過ぎの感があるが、そう大きな弱点とは言えぬであろう。

が、妊娠をした後鎮痛剤を用いたアレルギーで春妃が呆気なく死んでしまう展開は気に入らない。
 所謂悲恋もので通常の別れを以って終った作品を最後に観たのはいつになるであろうか、と思うほど現在アジア映画においてロマンスの終焉は<死別>オンリーである。
 回想形式の前提として彼の落ち込んでいる現状を描写している為に、残念ながら(笑)構成上は唐突とは言えないものの、過去の名作群が証明するように生別でも十分に紅涙を絞ることは出来るのだから、「また死別か」と思わせるだけでも損である。とにかく、現在、<泣きたい>症候群の観客に迎合して現在アジアの作家・脚本家たちは死に方のみに知恵を絞っている感じがする。

ただ、本作の場合お涙頂戴のロマンスという以上に再生ドラマとしての狙いが明確に見えているので、彼が気力を取り戻すくだりをもう少し印象強く構成できれば★一つくらいは増やせたと思う。夏姫のあの言葉だけでは今一つ押しが足りないと言わざるを得ないのだ。

沢尻エリカ好演。

妃に姫か。童話の世界じゃね。

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この記事へのコメント

2008年12月09日 22:52
こんにちは。
この作品は、久しぶりに、温厚な僕の「地雷」にぶちあたった作品でした(笑)
オカピー
2008年12月10日 00:44
kimion20002000さん、こんばんは。

>温厚な僕の
僕も思いきり温厚です。^^
映画を観て怒ったことなど生涯に2回しかないです。しかもここ数年前までゼロでしたよ。

こんな映画に五点?などとよく言われます。
一般的に低レベルの作品に甘く、高レベルの作品に厳しい、採点傾向であります。

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