映画評「僕のピアノコンチェルト」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2006年スイス映画 監督フレディ・M・ムーラー
ネタバレあり

「山の焚火」「最後通告」に続いてスイス人監督フレディ・M・ムーラーを観るのは三本目になるが、最も一般的で見やすい作品である。

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6歳の少年ヴィトス(ファリツィオ・ボルサーニ)は知能指数が測れず、買ってもらったばかりのピアノでシューマンを弾きこなす神童。母親(ジュリカ・ジェンキンス)は芸大の教授に学ばせようとするが本人は押し付けられることを嫌う。
 6年後、彼(テオ・ゲオルギュー)は12歳にして高校に通っているが、先生は生意気な態度に手を焼く。そんな彼も自分を特別扱いしない祖父(ブルーノ・ガンツ)の前では心を開くものの、祖父との面会を禁じられると、祖父の作った木製飛行機でマンションから飛び降りて負傷、そのショックで凡人になってしまう。

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が、それは演技で、祖父の前では天才ぶりを発揮、金策が必要になった祖父の為にネットトレードで大儲けして株のネット取引仲介会社を設立、祖父の死後、一番の貢献者なのに首になった父親の為に会社をこっそり買い取り、祖父が買ったセスナで教えを請いに伝説のピアニストの許に駆けつける。

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6月に観た「神童」同様に天才の孤独が基調となっているが、それを考えられるだけポジティブな方向に持って行き、ある意味唖然とさせる。
 初恋のベビーシッターも占い師もピアニストも、ピアノも祖父の飛行機も父親の会社も、登場した人物・要素は埃一つ残さず完璧に回収されるので、些か調子が良すぎる印象を残すものの、「凡人には解らん世界じゃ」などと僻まずに素直にファンタジーとして観れば、娯楽性たっぷりでかなり楽しめるはずである。

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この記事へのコメント

シュエット
2008年10月06日 10:32
「山の焚火」はJiji姉のブログで知って、観終わった後はしばらく自失状態なほど(良かった)。
本作は、このあたりの公開映画って音楽をテーマに、よく似た内容が続いていて、<「凡人には解らん世界じゃ」などと僻まずに>ほどでもないけれど、それがどないしたん?って気持で観なかったけれど、P様のお言葉に、ちょっと観てみようかしら。
オカピー
2008年10月07日 03:41
シュエットさん、こんばんは。

例えば、viva jiji姐さんには、こういう毒のないお話はまずダメじゃろうと思います。
シュエットさんにも、主人公の内面はいざ知らず、リアルなドラマなら必ず必要な、ささくれめいたものが後半全くないので、ダメかもしれないなあ。^^;
要は完全なファンタジーなんです。音楽は思ったほど出てこないので、他の作品とは違うみたいですよ。
2008年10月07日 06:51
早朝から私の名前が目に飛び込んで
参りましたので、いても立っても
いられなく・・というのはウソで(笑)
しっかりコーヒーをいただいてから
どれどれ。^^

はい、観ましたよ、ムーラーさんですもの。
プロフェッサーの予測を外すようですが
私、けっこう楽しめましたよ、本作。
賢いお子が出て来る映画は好きです。♪
後半展開がちょっと急ぎ足に感じましたが
“子のきもち親知らず”はどの国も
似てますね。
でもこの両親はすんでのところで
踏ん張っているから肩にチカラが
入らず最後まで観れました。

題名が罪つくりなんですよ、これ。
原題「ヴィトス」でじゅうぶん。

祖父役のガンツもよかったわ~。
ああいうお爺ちゃん欲しい。

初恋のイザベラ(でしたよね)が
もし私だったらちゃんと10年待ちます。
アノことを「DNA交換するだけ」なんて
言っちゃう天才男子とぜひ暮らして
みたいわ~~!!♪^^
オカピー
2008年10月08日 01:09
viva jijiさん、こんばんは。

おおっ、予想が外れて何よりです。^^
外見に騙されて評価する人が多くて、先日もJ・アイヴォリー「ル・ディヴォース」をちょっとばかし褒めたら、間接的に「お子様ランチが好きみたいだ」と揶揄されてしまいました。
あれはロマコメに見えるけど、哲学映画ですって。それが解った人は10人に1人くらいみたい。

>“子のきもち親知らず”
これに関係するところで、ガンツの祖父が遺書で「私は愛を教えてきただろうか」という文言がありました。結局はこれがテーマかな。
あの母親も義父の言葉に目を開いたでしょう。^^

僕も子供の頃神童だったから彼の気持ちは解るなあ(嘘です)。

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