映画評「ソウ4」

☆☆★(5点/10点満点中)
2007年アメリカ映画 監督ダーレン・リン・バウズマン
ネタバレあり

大正時代に人気のあった連続活劇は40年後TVのシリーズ(厳密にはシリアル)に応用されたが、最近は劇場用映画に逆輸入された形でシリーズものが隆盛である。
 しかし、連続活劇やTVと違って長編映画は早くても1年に1回であり、ひどいものになると数年のスパンを置くので記憶も定かでなく困ることがある。今はビデオやDVDといった便利なものが利用できる時代だから(それがシリーズ隆盛の原因でもある)復習してから見れば良いわけだが、我々のような映画マニアにそんな暇はなく、シリーズものは特定ファン向けとならざるを得ない。昔のシリーズは連続性が希薄で単独で観ても十二分に楽しめるように作られていたから何の問題もなかった。

前置きが長くなったが、本作は極限状況におけるゲーム感覚の面白さが評判を呼んだホラー・シリーズの第4作。

前作で死んだジグソウことジョン(トビン・ベル)の死体が解剖される序幕からグロテスクで、いきなり嫌なものを見せられた思いを抱く。CGやコンピューター合成技術のおかげで妙にリアルなのは有難迷惑でござる。

その胃の中から音声再生装置が取り出されジョンの声が再び宣戦布告。行く先々で刑事やFBI捜査官たちが彼の音声に振り回されることになる。恐らく刑事らの場面は解剖より以前のお話で、時系列の違う場面においてさらにフラッシュバックが多用されるので、旧作特に3作目の記憶が薄れていると甚だ解りにくいが、解らなくてもグロと残酷装置のユニークさで売っている部分が目立つ故に大半の観客にとってはその点はどうでも良いことであろう。

グロさはご勘弁願いたいものの、刑事たちがジグソウに操られて彼と同じような加害者的立場を取らざるを得なくなる設定やジョンがジグソウになる過程が紹介されるのが一定の興味となる。さらに、幕切れを含めて第1作に立ち戻った印象を与える部分が多い為に、力尽きた感のあった三作目より幾分か盛り返している印象はある。

ところで、「CUBE」の直接の影響下でこのシリーズ(第一作)が生まれたと思っているが、刑事たちが究極の選択を迫られる場面を見るうちに「セブン」に感化されたところが少なくないような気がしてきた。ただ、道徳論で映画を評価する立場に批判的な僕も、そうした先行作品に比べると、神を気取って残忍な行為を繰り返すジグソウを主人公にした本作には不快な思いを禁じ得ない。

5作目も既に公開待機中。その後もそう当続きそうじゃね。

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この記事へのコメント

シュエット
2008年10月02日 15:05
本作は1作目しか見ておりません。1作目はちょっと考えさせられるところもあり、面白かったのですが、2作目以降は見ておりませんし、これも一つの観客動員のためのものなのでしょうが、極限状況におけるゲーム感覚の面白さを売りにした盛り上がりに、いいのかなって考えさせれるところがあります。
だんだんとエスカレートしてくるその内容に、映画がなんらかの形で社会現象にまでなる以上、映画が担うべき社会的役割とか責任というものを
真面目に考えてしまいます。人間の原罪とか、存在そのものと関わる恐れとか恐怖とかを描いた者とは違い、単に恐怖をあおり、追い詰めるだけのの刹那的な映画で、それに熱狂するものがいるのは、どこかで精神が蝕まれているんではないかしらって思う。こういう映画が出るたびにローマ帝国でどちらかが死ぬまで肉食獣と奴隷を戦わせたあの世紀末的な世界を連想してしまいます。
オカピー
2008年10月03日 02:24
シュエットさん、こんばんは。

全く仰る通りだと思います。
敬愛する双葉十三郎師匠が、「13日の金曜日」がアメリカでヒットしたことに触れて「お化け屋敷の感覚で観る観客が増えたのか」と嘆き、昨今のCGありきの作品群に「もはや映画ではなくアトラクションではないか」と悲しんだことを思い起こします。

>世紀末的な世界
人間の精神面でもそういう現象として捉えられますが、一方で、二次元映画が限界に近づいているのではないかと思います。
10年後くらいには、或いはかつての3D映画とはまた違う立体映像の映画なんか出現するのではないかとぼんやりと考えてしまいます。これが良い方向に進むかどうかは怪しいですが。
2008年10月23日 12:46
オカピーさん、いつも有難うございます。 最近いろいろあって余裕がないのですがゆっくり続けたいと思っています。

また続くと思うと若干不安ですが、結構この作品は楽しんでしまいました。 始めから残酷シーンがあるぞと思っていれば、それほど怖くなかったです。 どう完結するつもりなのかは気になりますね。
オカピー
2008年10月23日 23:36
みのりさん、こんばんは。

>ゆっくり続けたい
無理しないことが長続きの秘訣でしょう。

>怖くなかった
ふーむ、最近のホラー映画は概して余り怖くないような。
残酷な余り、本能的に虫唾(むしず)が走るような作品は多いですが、恐くする為にはもう少し観客の知性を働かせるようなアイデアではないと駄目ではないかな、と思います。
日本人ならやはり「お岩さん」でしょう。あれが怖いのはやはり、恨みと因果応報という観念が上手く物語に定着しているからと思います。

ある人曰く「脚本にミスがあればある程続編が作りやすい」ので、「13日の金曜日」みたいに延々と続くかもです。

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