映画評「タロットカード殺人事件」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2006年イギリス=アメリカ映画 監督ウッディー・アレン
ネタバレあり

ウッディー・アレンが英国に渡っての第2作は93年に作った「マンハッタン殺人ミステリー」のロンドン版の趣で、出来栄えも似たようなものではないかと思う。

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ロンドンに休暇に来ていたジャーナリスト志願の女子大生スカーレット・ヨハンスンが、米国人マジシャンのアレンの人体消失マジックの最中に有名記者イアン・マクシェーンの幽霊と遭遇、現在ロンドンを震撼させている【タロットカード連続殺人】の真犯人が貴族のぼんぼんヒュー・ジャックマンである可能性があると特ダネを持ちかけられ俄然やる気になるが、実際に会ってみると好青年なので恋心が芽生えてしまう。
 父親として共に行動をすることになったアレンは最初は乗る気でなかったものの、すっかり相手に夢中になって彼女の真相探しの気持ちが萎えるのに逆比例して単独で行動を始め、ある事実を突き止める。

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本格探偵ものは限界があるので、日本のTVミステリー枠でも素人探偵ものが大流行りであるが、素人探偵は素人らしく間抜けなほうが良い。例えば、本人がいるのに容疑者の家の固定電話で調査の話をする二人は大間抜けである。しかし、間抜けだからコメディーにしても何の不都合がなく、コミカルなミステリーと思って観ればよろしい。

ただ、ミステリーとしては底が割れている印象が強いので、数多く取り込んだ英国絡みの元ネタを考えながら楽しむべき作品である。
 その①。ベースはかつてロンドンを騒がせた【切り裂きジャック】であり、ホームズの故郷にして、アガサ・クリスティを生んだ英国が舞台であるから、ご本家を偲ばせるムードがある。

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あるいは、何気なくシェークスピアの「ハムレット」から毒殺に幽霊そして水死を戴いているのも洒落た印象を残す。
 さらに、旧作同様英国が生んだ映画界の大恩人ヒッチコックへの敬意も忘れない。御大がロンドンを舞台に連続殺人を描いた傑作「フレンジー」が案外発想源だったかもしれないし、ワインセラーの傍でのどきどきは「汚名」である。

アレンの特徴は台詞劇であることだが、本作ではロンドンに絡めた台詞に面白いものが多い。

アメリカで道路の右側を平気で走る上司に感心したことを思い出させますなあ。

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この記事へのコメント

2008年10月13日 23:56
こんばんは。
>シェークスピア >ヒッチコック
こういう面白みもあったのですね。
ラストのオチは傑作でした。
オカピー
2008年10月14日 00:45
hashさん、こんばんは。

>シェークスピア
アレンは前作同様に英国を凄く意識しているのに、意外なことに誰もシェークスピアについて指摘していない。
その辺り、ちょっとがっかりしました。

>ラストのオチ
アレンの運転ミスの後のお話ですよね?
上手いです。
シュエット
2008年10月15日 11:42
久々にウッディ・アレンの軽やかさを感じました。
ヨハンソンとの相性がよほど良かったんでしょうね。
ただヨハンソンも彼女はやはり手堅い演技ができる女優だと思う。
だからこその、「マッチポイント」であり、本作なんでしょうね。
アレンとヨハンソンのコンビが楽しくって、ジャックマンの存在が薄かったこと!
オカピー
2008年10月15日 18:29
シュエットさん、こんばんは。

>ヨハンソンとの相性
本作では夫婦漫才の如くでしたね。
掛け合いが楽しかった。
声は悪いけど、魅力ある女優と思います。

>ジャックマン
「ニューヨークの恋人」でちょっとお気に入りに。だから、僕はロマ・コメのほうが合っているように思うわけです。
2019年11月30日 01:41
とくに期待せず、時間が95分だからGYAO!で視聴したら、よかったので得した気分になりました。ミステリーもののパロディを楽しんでいる雰囲気がありましたね、最後の湖の場面は「日の当たる場所」ですか、エリザベステーラーの出た、あれを思い出しましたし。こういう映画見ると、ウッディアレンはやっぱり才人だなと、仕事ができなくなるのは惜しいなと思いますね。
オカピー
2019年11月30日 21:13
nesskoさん、こんにちは。

>最後の湖の場面は「日の当たる場所」ですか、
当然僕も思い出しましたが、記事を英国にまとめる方針があったので、触れませんでした。

>ウッディアレンはやっぱり才人だなと、仕事ができなくなるのは惜しいな
そうですね。
しかし、IMDbを見ると新作のまとめ段階に入っているようですし、大丈夫と思いますよ。

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