映画評「ナンバー23」

☆☆★(5点/10点満点中)
2007年アメリカ映画 監督ジョエル・シューマカー
重要なネタバレあり。未見の方ご注意。

23という数字に取り憑かれる男を巡るミステリー・サスペンスだが、僕の誕生日は7月23日だからこういうお話は困ります。

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動物管理局の動物捕獲員ジム・キャリーが誕生日の2月3日に謎めいた犬の捕獲に失敗して23で死んだ娘の墓がある墓地に舞い込み、妻ヴァージニア・マドセンから謎めいた「ナンバー23」というミステリー小説を贈られる。
 子供の時隣家で殺人事件を目撃し探偵になったフィンガリングという仮名の主人公が23という数字に苦しんで自殺した女性と関わって以来数字23に憑かれ、殺人を犯し別人が逮捕される第22章で終わるところまで読み進めるまでに、主人公と多くの共通項を発見した彼も23に憑かれてしまい、自分も殺人を犯すのではないかと戦々恐々とし、真相を教えてくれるに違いない作者を探し始める。

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さあ彼にとって第23章はどうなるのか、というお話に「シークレット ウィンドウ」を思い起こす人が多いと思われるが、「あの作品の方が面白い」と見なすのは間違っている。上映時間の80%までインチキ映像を垂れ流し続けた作品と比較しても意味がない。インチキしてあの程度なのだから、正味では本作が優っていると言わねばならぬ。

基本的にクラシックと言って良い演出には1970年代サスペンス・ホラー映画の感覚もあって、ミステリアスなムード醸成は決して悪くない。この辺りは娯楽映画に実績のあるジョエル・シューマカーの実力の片鱗が出ている気がするが、余りに23という数字を出し過ぎたのが逆効果、(原作ものではないものの)小説でじっくり読むほうが面白いお話だなと思えて来る。

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序盤の映像による努力が中盤で限界を迎えてお話が空転、「シックス・センス」以来サスペンス映画の見せ場=どんでん返しと思い込んでしまった若い観客から「幕切れに既視感」といった指摘を招く。全く予想だにしていないところで披露するのがどんでん返しの妙味だから、シャマランが【パンドラの箱】を開け、<インチキでも何でもどんでん返し>という流行を生み出したのは悲しむべきことである。今や観客は映画内におけるサスペンスを楽しまず、作者との頭脳対決の結果に鑑賞価値を見出す。
 とにかく、どんでん返しが最大の関心の的であれば大概の逆転に驚くはずもないが、中盤がもう少し充実していれば多少終盤での反応も変わったであろう。
 主人公の記憶の扱いがかなりご都合主義なのも、興醒めの一因。

デジタル時計を見るといつも44分。僕の場合はそれが最大の気がかり。

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  • ナンバー23

    Excerpt: 犬とは相性のいいはずのジム・キャリーが噛まれてしまった。 Weblog: ネタバレ映画館 racked: 2008-09-25 22:45
  • ★「ナンバー23」

    Excerpt: 今週の平日休みはシネコンハシゴの2本立て。 こちらは「109シネマズ川崎」で見た2本目。 ジム・キャリーのシリアス映画なんて見たことあったっけ??? Weblog: ★☆ひらりん的映画ブログ☆★ racked: 2008-09-26 00:23
  • ナンバー23(映画館)

    Excerpt: それは一冊の本からはじまった Weblog: ひるめし。 racked: 2008-09-26 11:33
  • <ナンバー23> 

    Excerpt: 2007年 アメリカ 99分 原題 The Number 23 監督 ジョエル・シュマッカー 脚本 ファーンリー・フィリップス 撮影 マシュー・リバティーク 音楽 ハリー・グレッグソン=ウィ.. Weblog: 楽蜻庵別館 racked: 2008-10-23 11:19
  • ナンバー23

    Excerpt: ジム・キャリーが好きではないのです。 あの過剰な演技がどうも。。。( ^ _ ^; でも私の名前は23にゆかりがあるのです。 一応見ておかなければ。 DVDで鑑賞。 動物管理局に勤めるウ.. Weblog: 映画、言いたい放題! racked: 2008-11-09 01:02