映画評「恋しくて」

☆☆★(5点/10点満点中)
2007年日本映画 監督・中江裕司
ネタバレあり

久しぶりに和製ミュージカルを見た気になった「ナビィの恋」や野趣溢れる少女の冒険映画「ホテル・ハイビスカス」で準ご贔屓になっている中江裕司監督の作品で今回も勿論沖縄が舞台。沖縄と言っても広うござんす、恐らくは20年ほど前の石垣島の高校生たちが繰り広げる青春物語だ。

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ピアニストの父親が失踪した4歳より後歌が歌えなくなった高校1年生の加那子(山入端佳美)が高校生となり幼馴染の栄順(東里翔斗)と再会、二つ年上の兄・セイリョウ(石田法嗣)の至上命令で彼のドラム、その一番子分のギター、栄順のボーカルで三人組のバンドが結成される。彼女は盛り上げ役で、広い意味でメンバーだ。
 音楽の素晴らしさに目覚めた栄順と加那子が淡い恋を育んでいく一方で、2年後地方の高校生バンド・コンテストで見事に優勝。が、その直後セイリョウが不慮の事故で死亡、オリジナル曲でないと本戦を戦えない三人組(セイリョウの代りにキーボードが加わる)は困ってしまう。そこで島に残る為に栄順と別れることを決意した彼女は奄美で死んだ父親が残した楽譜に兄が歌詞を追加した曲を送付する。

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ジャパニーズ・ポップス・ファンなら知らぬ者はないであろう石垣島出身の三人組BEGINのエッセイにインスパイアされ中江自身が脚本を書き起こした物語で、BEGINがプロデビューするきっかけとなった「いかす!!バンド天国」の司会者・三宅裕司がちゃんと出演しているのを懐かしく思う方も少なからずいらっしゃるに違いない。勿論本作の三人組が最後に歌うのは彼らの出世作であり本作の題名に使われた「恋しくて」である。
 「恋しくて」はJポップスでは珍しいブルース調の名曲で、歌い出しが松田聖子の「スウィート・メモリーズ」にちょっと似ていたりする。

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さて映画の出来栄えであるが、父親の失踪が最後の本戦まで絡められて展開するストーリーはなかなか面白味があるものの、上っ面だけ帳尻を合わせて進められている印象が否めず、セイリョウが死んでしまう事故からして珍妙で、彼の死がBEGINの実際のメンバー構成に合わせる為のように思えて来たらもういけません、「恋しくて」を演奏し始める肝心の場面もそれが気になって盛り上がり切らない。
 しかし、本作の本質的な不満はそんなことにはなく、案外前出二作品ほど沖縄独自の野趣がうまく盛り込められていないことなのではないか、などとも思えて来る。こちらの勝手な思い込みと言えばそれまでだが。

但し、セイリョウに扮した石田法嗣以外実績のない若者たちの演技が大変清々しく好感を覚える。

アメリカ映画「恋しくて」と間違えたそそっかしい私であります。

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    Excerpt: 屁こき兄妹、小便たれ少年、うんこ踏み男たちのバンド活動。ライバルは“ふとももファイブ”だ!  Weblog: ネタバレ映画館 racked: 2008-05-27 18:36