映画評「キャット・バルー」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
1965年アメリカ映画 監督エリオット・シルヴァースタイン
ネタバレあり

子供時代何度か見たお気に入りコメディー西部劇。

師範学校を卒業したばかりのお嬢さんキャット・バルー(ジェーン・フォンダ)が、土地の開拓を企んでいる資本家に雇われた殺し屋(リー・マーヴィン)に買収に応じない父親を殺された揚句に町から追い出された為に、復讐の鬼となり、移動の列車で知り合った頼りにならない牛泥棒二人組とインディアン青年に、噂に名高い名ガンマンのキッド・シェリーン(マーヴィン二役)を加えて強盗団を結成し生計を立てるが、彼女は資本家に契約無効を迫ろうとして誤って殺害、死刑判決を受けてしまう。

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というお話が西部劇の典型と言うべき、バラッド(バラードではないですぞ)に乗って進行する形式。歌うはスタビー・ケイとナット・キング・コール(上記画像参照)で、このクラシック・スタイルに思わずニコニコしてしまう。
 タイトルも本の見開きという古典的な手法で進行し、1965年というニュー・シネマ前夜にあって西部劇パロディと言えるスタンスで作られた作品と言っても良いのではないかと思う。

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純情な学校の先生が強盗の親分に早変わりという展開も面白いが、子供時代にお気に入りだったのは、名ガンマンとして小説にまでなっているキッドが酔いどれでどうしようもないズッコケぶりなのに一度酒が入ると却ってシャキッとして百発百中になる、といったとぼけた設定である。しかもマーヴィンがズッコケと悪役の二役を楽しそうに演じ分けているのがご機嫌で、65年のアカデミー主演男優賞など各賞を総なめにしているのも頷ける。

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そして、「ジュリア」や「黄昏」の深刻演技も素晴らしいが、僕にとってジェーン・フォンダのイメージはキャット・バルーの明朗さなのだ。

今回の放映版では、【indian】の訳語が【先住民】となっていて気分が出なかったのが残念。放送自粛用語(?)の代用語を古い映画にあてはめるのには反対である。どんな言葉も使われた時代を反映しているのであり、それを意図的に変えるのは作品の時代性を曖昧にすることになる。まして本作の舞台である19世紀末にそんな意識があろうはずもない。全く堅苦しい時代になったものだ。

♪教師上がりのキャット・バルー
 どこに行くのか、はるばるー
 馬にまたがるジェーン・フォンダ
 誠に格好いいもんだ♪

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この記事へのコメント

2008年02月02日 12:20
パクッ!(喰いつきましたぞ!)

淀川さんの番組で見たのが最初でしたね。
お馬さんまでが、与太っていたのが面白かったです。どうして撮影したのかなぁ、なんて思ったりして・・。

ナット・キング・コール!
出てましたネェ♪
オカピー
2008年02月03日 00:42
十瑠さん、こんばんは。

忙しいのに誠にすみません。ぺこり。

>淀川さん
そうだったかもしれませんねえ。
結構TV映画族に評判が良かったらしく、何度も再放映された記憶があります。昔は土日の昼間に腐るほど映画番組がありましたね。
中学1年の時家に帰ってからゴールデンタイムと併せて4本も観たことがありますよ。

>お馬さん
今と違ってコンピューターで操作なんてできませんから大変だったでしょうけど、動物には芸達者さんが多いですね。
話は変わります。
80年くらい前にキートンが一人で30役くらいやりましたが、どうやって撮り、どう合成したのでしょうかねえ。

>ナット・キング・コール
この映画の撮影後程なく(65年2月死去)亡くなったんですね。アメリカでの公開が同年6月ですから本人は完成品を観ていないようです。
2008年02月11日 06:21
遅ればせながら本作、初めて先日観ましたの。^^

今にもバンジョーのあの軽快な音色が
聞こえてきそうなUP画像ですわね~♪

「聖者の行進」のように
本来悲しむべきところで、正反対に
楽しい曲で死者を送る。
愉快なお祭りパレードに、昔鳴らした
強盗や人殺しばなしを面白おかしく歌ってみせる。
私が初ライブで歌った「Mack The Knife」も
匕首マックヒースの殺人譚曲でございました。^^

実に楽しい構成と娯楽性ド真ん中の作品。
ゆったりと楽しませていただきました。

>ナット・キング・コール

彼のレパートリーはジャズの名曲の宝庫!
「ルート66」「スターダスト」「月光価千金」
「イッツ・オンリー・ア・ペーパームーン」
「枯葉」「キサス・キサス・キサス」・・・

かの美空ひばりがジャズを歌いたくて歌いたくて
ナットの歌を擦り切れるまで聴いて練習したと
いう逸話は有名ですね~^^♪
オカピー
2008年02月12日 02:53
viva jiji姐さん

>初めて
おお、それは意外中の意外!
当方は子供時代に三度ほど、成人してからも一度、
恐らく今回が5度目ではないかと。
面白かったでしょう!?

>UP画像
かなり明るめのパソコンに合せて
明るさを調整しているので、
暗いパソコンで観ると
かなり暗く映る場合がございます。
姐さんのはどうですか?

>マック・ザ・ナイフ
作曲者クルト・ワイルもこんなに有名になるとは
思わなかったでしょうね。
黒澤明「夢」の最後もそんな感じでしたね。
ところで、僕のバラッドはどうです、
七五調でちゃんと押韻もしているんですぜ?^^

>美空ひばり
と言えば、私の会社(メーカー)の視聴室に
「美空ひばり ジャズを歌う」といった
タイトルのCDがありましたよ。
僕は真面目に聞かなかったけれど。^^;

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