映画評「キング 罪の王」
☆☆★(5点/10点満点中)
2005年アメリカ映画 監督ジェームズ・マーシュ
ネタバレあり
英国出身ジェームズ・マーシュの日本初登場作品。
海軍を退役したガエル・ガルシア・ベルナルが死んだメキシコ人の母親に聞いた父親ウィルアム・ハートに会いにテキサス南部の町にやって来るが、牧師になり妻ローラ・ハーリングとの間に息子ポール・ダノーと娘ペル・ジェームズを儲けたハートにとっては現在の幸福を脅かす存在なので「家族に接近するな」と追い返されてしまう。
解らないことが多くて何とも言えないが作品だが、話の方向が変わるのは恐らくここからであろう。
青年はハートの娘即ち義妹のペルに接近して深い仲になって妊娠させ、脅迫しに宿を訪れたダノーを刺殺して沼に捨てる。やがて牧師が息子の存在を公認するのを確認、母娘を殺した後に家に火を放ち、教会の牧師の前に現れ「赦し」を乞う。
映画は全てを描かず観客に考える余地を残した方が大きな感動を呼ぶ可能性が高いわけだが、余りに曖昧にして観客を宙ぶらりんに置くのも困る。
本作は正に後者で、主人公がいつ復讐を思い立ったのか解らない。過去が描かれていないことを考えれば、復讐の為に会いに来たと考えるより、追い返された時に憎悪が形成されたと考えるのが妥当。追い返された後少女と再会する前に後に“弟”を捨てることになる沼をじっと観るショットがあるのだが、ここがヒントになると思う。
この家族も実に妙で、特に兄の死を知った妹の反応は一般人の理解を超えている。父親の急変も解りにくい。
こうした一連の家族の描写や皮肉っぽい幕切れから、一部キリスト教の偽善的な考え方を風刺しようとしたのではないかと推量することができるが、いずれにしても観客の理解に任せすぎの部分が多く、感心しない。
タイトルも意味不明。同じキングなら、エルヴィス(主人公の名前)・プレスリーのほうがよかね。
2005年アメリカ映画 監督ジェームズ・マーシュ
ネタバレあり
英国出身ジェームズ・マーシュの日本初登場作品。
海軍を退役したガエル・ガルシア・ベルナルが死んだメキシコ人の母親に聞いた父親ウィルアム・ハートに会いにテキサス南部の町にやって来るが、牧師になり妻ローラ・ハーリングとの間に息子ポール・ダノーと娘ペル・ジェームズを儲けたハートにとっては現在の幸福を脅かす存在なので「家族に接近するな」と追い返されてしまう。
解らないことが多くて何とも言えないが作品だが、話の方向が変わるのは恐らくここからであろう。
青年はハートの娘即ち義妹のペルに接近して深い仲になって妊娠させ、脅迫しに宿を訪れたダノーを刺殺して沼に捨てる。やがて牧師が息子の存在を公認するのを確認、母娘を殺した後に家に火を放ち、教会の牧師の前に現れ「赦し」を乞う。
映画は全てを描かず観客に考える余地を残した方が大きな感動を呼ぶ可能性が高いわけだが、余りに曖昧にして観客を宙ぶらりんに置くのも困る。
本作は正に後者で、主人公がいつ復讐を思い立ったのか解らない。過去が描かれていないことを考えれば、復讐の為に会いに来たと考えるより、追い返された時に憎悪が形成されたと考えるのが妥当。追い返された後少女と再会する前に後に“弟”を捨てることになる沼をじっと観るショットがあるのだが、ここがヒントになると思う。
この家族も実に妙で、特に兄の死を知った妹の反応は一般人の理解を超えている。父親の急変も解りにくい。
こうした一連の家族の描写や皮肉っぽい幕切れから、一部キリスト教の偽善的な考え方を風刺しようとしたのではないかと推量することができるが、いずれにしても観客の理解に任せすぎの部分が多く、感心しない。
タイトルも意味不明。同じキングなら、エルヴィス(主人公の名前)・プレスリーのほうがよかね。
この記事へのコメント
脚本とも思えぬ穴だらけのストーリーでしたわね。
説明不足ももちろん難ありでしたが、ベルナル始め、
ハートの妻役(リンチの「マルホランド・ドライブ」に
出たキレイな女優さん、まったく別人のようでびっくり)、
ミスキャスト、ハート牧師など生臭さ過ぎて^^
たんたんと殺しを遂行していく美形の無機質的な
俳優を使わないといけなかったと思うの、私は。
「コレクター」や「テオレマ」の頃のT・スタンプの
ようなね。
ベルナル君はまったく役不足。
プロフェッサーのご指摘のように
題名・・・何ですか、これ?^^
監督(作り手)だけがわかって喜んでる映画、
最近、多いわ~(--)
まだそちらに書き込めないです。
それはライブドアだけのせいではないかもしれませんが、書き込めないと何もできないので困ります。泣いております。
やはり姐さんは役者にうるさいですね。^^
当方は変だぞ変だぞと思いつつ、遂に変なまま終わったので、役者のことは頭から吹っ飛びました。(笑)
テレンス・スタンプは怖いわあ。若い頃の彼がこの役を演じたら、意味がにじみ出たかもですね。
>作り手だけが・・・
格好良いのが流行りですから。
どこで復讐を思い立ったかが解らないと、幕切れの皮肉も強烈に迫ってこないことになりますね。