映画評「紅の流れ星」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
1968年日本映画 監督・舛田利雄
ネタバレあり

こうして見ると1970年に作られた「野良猫ロック」シリーズのうち長谷部安春の監督した三本は、本作など60年代後半に作られた日活アクションの青春翻案版であったと理解できる。
 舛田利雄が石原裕次郎主演で58年に作った「赤い波止場」の事実上のセルフ・リメイクである。

若いヤクザ渡哲也が敵対する暴力団・加島組の親玉を首都高速で狙撃する、というのがプロローグ。
 1年後神戸に身を潜め地元の関興業の用心棒をしていた彼の前に、関との交渉後に失踪した宝石会社社員の婚約者であり経営者の娘という浅丘ルリ子が現れる。彼がその美貌と強気の性格に参って何とか物にしようと画策するうちに、加島組から派遣された殺し屋・宍戸錠に兄貴を守ろうとした弟分・杉良太郎を殺されてしまう。
 復讐の為に宍戸を倒して警察に追われる身となった彼はバーのマダムより渡されたマニラへの密航用の札を握って意気揚々と浅丘嬢と波止場へやって来るが、彼女の裏切りにあって官憲の銃弾に倒れるのである。

画像

という物語はスタイルに流れがちで抜群に面白いとは言えないが、映画ファンには楽しめる要素が多い。

その1。
 主人公が東京を偲ぶのが「望郷」のジャン・ギャバンの如し。しかし、数百キロ離れた国内で危険を回避できるとも思えず、最初からマニラに逃げれば良いのにという疑問が残るし、そのほうが望郷についても説得力も出てくる。尤も資本の限界からもたらされるそうしたいい加減さがこの時代の邦画の良さでもあるのだが。

その2。
 幕切れは「勝手にしやがれ」のジャン=ポール・ベルモンドにダブると同時に、全編に渡りヌーヴェルヴァーグの匂いをまぶしたことが伺われる。

その3。
 衣装や美術に使われた色の鮮やかさ。渡の着るサマーセーターの赤、宍戸の赤いネクタイ、杉の恋人役・奥村チヨの赤いスカート、浅丘の赤いワンピース、赤いフェアレディ、赤いボートと、特に赤に拘る様子がこの年日活を追われた鈴木清順へのオマージュにも思えてくる。

音楽ファンには奥村チヨの「北国の青い空」が映画バージョンで聞ける楽しみもある。

「勝手に望郷」といったところで、採点は出血大サーヴィス!

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