映画評「とむらい師たち」

☆☆★(5点/10点満点中)
1968年日本映画 監督・三隅研次
ネタバレあり

ただ今WOWOWで勝新太郎の特集が組まれているが、今月は忙しくてこの一本しか観られそうもない。本作を選んだ理由はご贔屓の三隅研次が監督をしているからである。

デスマスク屋の勝新太郎が死者への敬意が足りない現在の葬儀屋に憤懣を覚え、霊柩車の運転手・多賀勝、もぐりの美容整形医・伊藤雄之助、退職した市役所戸籍係・藤村有弘と共に、新タイプの葬儀社を創設する。名付けて国際葬儀協会、略して国葬。
 デスマスクや死顔美容など得意分野を新機軸にして順調に業績を伸ばしていった彼らは知人の女性が堕胎したのを知って水子地蔵を建立して伸張、TV葬儀を通して人気が全国区になっていく。

マニュアル映画の先鞭を付けたようなこの前半は、スタイリッシュな映像を持ち味にした三隅監督の資質に合わず、岡本喜八のようなもっとはじけた演出であればと思わせる。但し、彼の得意とする人物の出入りの速さが生かされテンポは悪くない。

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さて、良い気になって葬儀会館設立に狂奔する三人に対し、勝は原点に戻る為に独立、大阪万博から着想した葬儀博覧会の展示物を地下でこつこつと作り始める。完成間際になり突然空に閃光が走って地震のような衝撃と共に天井が崩れ落ち、何とか地上に出た彼の前には全てが瓦礫と化した地獄絵図が展開する。水爆が落とされたのだ。

本作が作られたのは1968年、2年後の大阪万博の工事現場を象徴的に取え、経済成長に浮かれて葬儀という厳粛な儀式まで産業化している社会を風刺しているが、最後の唐突で余りにシュールな展開には苦笑した。お話の構成から言っても国葬の分離後は拙速に進み首を傾げてしまうものの、陰湿なムードがコミカルな前半より三隅の資質にフィットしている。ただ、ひどく厭世的で後味が悪く、楽しめるとは言いにくい。

原作は野坂昭如で、脚本は藤本義一。

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