映画評「高校野球 HIGHSCHOOL BASEBALL」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2006年アメリカ映画 監督ケネス・エング
ネタバレあり

野球と名の付くものは何でも観るが、高校野球は特に好きで、今年の夏も30試合ほど観た。技術を超えて奇跡のような現象が時に起るのが面白いのである。今夏、佐賀北高校の優勝など誰が予想したであろう。
 そんな僕の食指を動かした本作は恐らくアメリカ人に日本の文化を紹介する為に作られた、高校野球をテーマにしたドキュメンタリー。日本未公開。

2003年の夏、甲子園出場を目指す和歌山の野球の名門私立・智弁和歌山と大阪の公立・天王寺高校という対照的なチームに取材しているのが興味深い。
 日本の高校野球とはこういうものだと一元的に結論を出すのではなく、こうした対照的なチームが同じ場所で競い合うことに日本の高校野球の魅力を見出しているかのようである。

智弁の高島監督は自ら甲子園出場を果たしたエリートであり、野球を武士道と同一視し、勝ち進むことに重点を置く。有望選手はプロ野球を目指し、学業は二の次である。
 方や、天王寺の監督は野球を人生の為の勉強と説く。学校は進学校で文字通り勉強にも勤しんでいるらしい。エリート選手はいない。
 共通するのは、いずれも野球に関し努力を怠らないということだ。

技術はないが努力をし続けた結果最終年に最後の18番を勝ち取った三年生の選手を巡る天王寺高校の選手発表の場面が感銘的で、ぐっと来る。監督の「選ばれなかった選手の思いを全て背負う18番は重い」と励ます言葉こそが重い。

毎年4000を超える高校の中から僅か49校のみが選抜される予選、という説明だけではアメリカ人に日本高校野球の仕組みが把握しにくいのではないか、行進や応援の様子からファシズム的に捉えられるのはないかという不安が過る一方、日本人の僕らには試合後の情景が大変興味深く、天王寺高校の女子マネージャーが事前に述べていた、各校の思いが込められた千羽鶴が敗者から勝者に渡される現場が収められているのは特に収穫である。

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この記事へのコメント

2007年09月11日 10:00
おはようございます^^
今年の夏は北海道二校が遭えなく初戦敗退。ベスト8あたりからは佐賀北びいきで観戦していただけに、感激と興奮の大会となりました。
技術の高さが即ち野球の醍醐味とは限らないのですよね~。とりわけ高校野球は面白い! 精神論をぶつ気は毛頭ございませんが「青春の気概」が白球に乗り移って見えてくる。

「相手校への配慮から高校生のガッツポーズは自粛すべき」といった論議があるらしいですが、生き生きとした球児たちの姿こそが、たまらない野球的情景。そういう発想は勘弁して欲しいものです。

本作はまさに「アメリカに日本の高校野球を紹介するためのドキュメンタリー」ですので、多くは望めないものの、きちんと焦点が合っていて野球好きとしては面白く観られました。
2007年09月11日 10:01
(続きです)
で、ですね・・・
「野球を武士道と同一視」しているのは、天王寺の監督です。野球=教育という姿勢の中、礼を重んじ、敵の弱点を攻撃してはならないと諭しておりました。天王寺には佐賀北のイメージがダブるでしょうか。
一方、智弁和歌山の高島氏は徹底した勝利至上主義。特待生問題で揺れた昨今、それもまた高校野球の実態でありましょう。
しかし、監督の方針がどうであろうと球児たちは誰も変わらず瞳を輝かせている。どちらが好ましいなどと作品内で断定していない作りに、私は好感が持てました。

他にもたくさんコメントをしたい作品がございますが、また時を改めましてお伺いいたします^^
オカピー
2007年09月11日 19:49
優一郎さん、こんばんは。

>野球=武士道
あははは、やっちゃいました。^^;
黙って消そうかなと思いましたが、そうすると優一郎さんのコメントの意味が解らなくなりますので、打ち消し線にしました。
武士道と勝利主義がイコールになるわけないですもん、どうも記述している最中からおかしいと思っていたんですよ。^^;
最近集中力がなくて、様々なところで不調を発揮しております。

しかし、高島氏の「負けたら監督のせい」という潔い言葉は、この人も武士道の人なんだなと思わせるところがありましたよね。

佐賀北は3回戦で群馬代表を破ったチーム。公立校なので応援のし甲斐がありました。
北海道勢はこの数年好調でしたが、今夏は残念でしたね。

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