映画評「マーダーボール」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2005年アメリカ映画 監督ヘンリー=アレックス・ルピン、ダナ・アダム・シャピーロ
ネタバレあり

サドンデスや自殺点と同じようにイメージが悪いという理由で、マーダーボールは現在クウォドリプレジック・ラグビー或いはウィルチェア・ラグビーと呼ばれている。つまり、四肢障害者が車椅子を使って行う球技で、バレー・ボールを持った選手が敵方のゴールラインに達した時に1点が入り、得点の多いチームが勝つ。かつての名(殺人球技)の通りかなり激しいスポーツだが、そんな球技に携わる人々を取り上げたドキュメンタリー映画である。

アメリカを牽引したかつての名選手ジョー・ソアーズは代表から外されたことに腹を立て隣国カナダの監督になっている。そんな彼を裏切り者として敵意をむき出しにするのがアメリカのトップ選手マーク・ズバンで、アメリカとカナダは因縁めいた戦いを重ね、遂に優勝を目指してアテネ・パラリンピックの準決勝で対戦する。

画像

チーム・ベースで語ればこういう話になるが、それは傍流のテーマで、映画が描こうとしたのはこのスポーツに汗を流す人々の人物像である。

ジョーは生まれてすぐにポリオにかかって半身不随になり、父親同様息子に厳しく接するが、心臓発作から復帰すると人が変ったようになる。
 マークは友人の酔っ払い運転事故による脊髄損傷による不随である。
 その他喧嘩の果てといった具合に自業自得というべき荒くれ者が多く、特に序盤は身体障害者を扱ったドキュメンタリーのイメージを完全に覆す激しい言動によりドライな印象を与え、力強い。

さすがにそれは続かずに次第に常識的な情緒の範囲に収まってくるが、今度は彼らに共通する前向きな考え方が胸を熱くする。「足りないことは、人間の精神を収縮するどころか、却って大きく柔軟にすることがある」という事実に感動させられるわけである。

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この記事へのコメント

シュエット
2007年10月01日 22:37
本作は劇場で見て、自立」ということ、助けを借りずに自分で生活できることという彼らには圧倒されました。このポジティブさ!
オカピー
2007年10月02日 00:30
シュエットさん、こんばんは。

不足が精神を委縮させずに広げる。五体満足で不足を訴えている連中とは何と違うことかと思わされますよね。
しかも、良い子ちゃんじゃないところが感動的でした。(笑)

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