映画評「尻啖え孫市」

☆☆★(5点/10点満点中)
1969年日本映画 監督・三隅研次
ネタバレあり

大河時代劇で一番人気のあるのは戦国末期から安土桃山時代の半世紀だが、世間の皆様ほどはこの時代に惹かれない。ご贔屓・三隅研次が監督なので観ることにしたものの、戦国大名の将来を左右すると言われた紀伊・雑賀(さいが)衆の頭目・雑賀孫市(本名:鈴木孫市)のお話と聞いても殆どピンと来ないわけである。

孫市(中村錦之助)がそれほど重要だったのは3000騎もの傭兵鉄砲集団を抱えていたからだが、過日見染めた美しい足の女を探しに織田信長(勝新太郎)の領地にぶらりと現れる。信長と木下藤吉郎(中村嘉葎雄)はそれを利用して彼を味方に引き入れようとするが、差し出された娘が偽物と知って激怒、信長が一番恐れる一向宗の総本山たる本願寺と手を組み、彼との敵対関係は信長の死まで続いたという。

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歴史を左右する可能性のあった人物が足フェチで、惚れた素足の娘が信徒の小みち(栗原小巻)と判明して彼女の為に本願寺への協力が確定的になるというのだから全くのおとぼけである。にもかかわらず、全体の印象は大河時代劇的な作りであり、僕が三隅作品に期待する小回りのきいたスタイリッシュなものから程遠い。

遠くても良いのだが、ユーモアが相当あるのに展開が思いの外鈍重なのが困るのである。三隅先生はどうもユーモアは駄目らしい。或いは、大映社長・永田雅一に重厚な作品でも求められたか、中村兄弟の東映臭にあてられたか、「やっとるわい」と思わせるショットやシーンが余りない。敢えて言えば、終盤孫市が大坂で襲撃される場面の光の使い方くらい。
 三隅研次と権謀術数渦巻く大型時代劇は相性の悪いことが解ったのが収穫ですかな。

原作は司馬遼太郎の同名時代小説。

大映の断末魔の声が聞こえたのは僕だけ?

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