映画評「周遊する蒸気船」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
1935年アメリカ映画 監督ジョン・フォード
ネタバレあり

ジョン・フォード監督=ウィル・ロジャーズ主演の人情喜劇第3弾。三作の中では最も喜劇色が強い。

フォードの作品にも拘らず長い間未公開で1996年に遂に公開された時に随喜の涙を流したオールド・ファンもいらっしゃるだろう。遅きに失した感もあるが。

ラム酒を薬と称して生計を為しているロジャーズは甥ユージン・パレットとおんぼろ蒸気船を買うが、その甥が初めて恋に落ちた娘アン・シャーリーの為に正当防衛で殺人を犯してしまう。最初は煙たがっていた先生も娘の素直な性格や追って来た家族の非道ぶりに腰を上げ、とりあえず甥に自首を勧める。
 意外にも甥が有罪となった為無実の証言をなしうる宗教活動家バートン・チャーチルを探し出し、蒸気船を駆って刑務所を目指すのだが、途中蒸気船競争に参加する羽目になり、燃料捻出に四苦八苦する。

画像

物語は35年製作なのに20年代初めのサイレント映画ではないかと思えてくるほど古臭く、時に苦笑を誘うが、明朗快活な作りなので楽しめる。

特に優れているのは酒を禁ずる宗教活動家とラム酒を薬として販売する船長の対照を可笑しく描く序盤で、この二人が終盤手を組む面白さが秀逸。船に商売用に担ぎ込まれた人形とラム酒が実は伏線となっていて、終盤蒸気船競争の時燃料として大いに活躍するというアイデアも良い。

「おおスザンナ」などのフォスターの名曲や南軍行進曲になった「ディキシー」といった曲に乗って、フォードの郷愁的描写が生かされた喜劇の佳作でした。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック